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循環器内科 対象疾患

記事ID:0003439 更新日:2021年3月2日更新 印刷ページ表示 大きな文字で印刷ページ表示 <外部リンク>

主な対象疾患

循環器内科医師イラストの画像

1.心疾患

  • 冠動脈疾患:心筋梗塞/狭心症/虚血性心筋症
  • 心筋疾患:急性および慢性心不全/肥大型心筋症/拡張型心筋症/収縮性心膜炎
  • 弁膜症:大動脈弁閉鎖不全又は狭窄症/僧帽弁閉鎖不全又は狭窄症
  • 不整脈:心房細動/徐脈/頻脈/心室性不整脈
  • 先天性心疾患(内科管理):心室中隔欠損症 他
  • その他(内科管理):心臓腫瘍/感染性心内膜炎 他

2.血管疾患

  • 下肢動脈狭窄症および閉塞症/重症虚血肢(下肢の冷え、しびれ、潰瘍、壊死)
  • 下肢深部静脈血栓症(エコノミークラス症候群)
  • 肺動脈血栓塞栓症/慢性肺塞栓/肺高血圧症
  • 腎血管性高血圧症
  • 大動脈瘤/大動脈解離(内科管理)

冠動脈疾患 ―狭心症と心筋梗塞―

冠動脈疾患とは

 心臓の筋肉(心筋)を栄養する血管(冠動脈)が動脈硬化を起こして狭窄あるいは閉塞し、心筋への酸素と栄養の供給が不足し、胸の痛みがおこります。ひどい時には心停止をきたします。

冠動脈疾患の原因

 高血圧症、糖尿病、脂質異常症の方に起こりやすく、これらの方はできるだけ早めに治療しておくのが最もよい予防法となります。タバコを吸っている方も過去に吸っていた方もリスクがあります。加齢(女性では閉経)も危険因子と言われています。

狭心症の症状

特有の症状がある方もあれば、はっきりしない症状の方もおられます。

 特有の症状:じっとしているときはどうもないが、歩行時や、力仕事、階段を上がるなどの運動時に胸の症状が強くなり、休憩すると1~2分で症状が落ち着き、また動くことができる(労作性胸痛)。一定の労作で必ず苦しくなる(再現性)。胸痛は胸が締め付けられる感じ、押さえつけられる感じがする。胸の1点ではなく比較的広い範囲(てのひら2つ分以上)が苦しくなる。ニトログリセリン(薬品名:ニトロペン、ミオコール)で症状が軽くなる。

 特有ではない症状(診断が遅れることがある):労作で悪化するが安静時も起こる(重症)、胸ではないところが痛む(前頸部、歯、肩、みぞおちなど)、胸痛ではない症状がある(冷や汗、息切れ、動悸、全身倦怠感)など。

心筋梗塞の症状

 狭心症の症状の強いものといえます。安静や、ニトログリセリンでも症状は取れません。血圧が下がって意識がもうろうとしたり、心不全のため呼吸ができなくなったりします。

狭心症かどうか調べる方法

ハートイラストの画像

 健康診断や、人間ドックで行うような安静時の心電図ではわかりません。症状があるときにしか検査で異常が出ないものもあります。
 運動負荷心電図、薬剤負荷シンチグラフィー、冠動脈CTといった検査で早期発見が可能となります。

下肢閉塞性動脈硬化症

下肢閉塞性動脈硬化症とは

 下肢閉塞性動脈硬化症とは、動脈硬化が原因となり、足へ血液を送り込む動脈が細くなる、もしくは詰まってしまうことにより、足への血流が低下する疾患です。初期の症状としては間歇性跛行(かんけつせいはこう 図1)があります。これは歩行時に足が痛くなり歩けなくなりますが、しばらく休むと足の痛みがなくなり、また歩けるようになるというものです。この段階で発見して、治療することが重要です。さらに進行すると安静時疼痛(じっとしていても足が痛い)、そして潰瘍や壊死(図2)が出現します。このような状態にいたると、重症虚血肢(じゅうしょうきょけつし)と呼ばれ、足の切断手術が必要になる場合もあります。

 下肢閉塞性動脈硬化症は足に限局した病気としてではなく、全身性動脈硬化症の一部分症状と考えられています。動脈硬化は全身の動脈で起こる変化であり、下肢閉塞性動脈硬化症の患者さんの半数以上は冠動脈疾患もしくは脳血管疾患を合併していると言われています。下肢閉塞性動脈硬化症の患者さんの予後は悪いと報告されていますが、これは生命に危険を及ぼす心筋梗塞や脳梗塞の発症が主な原因と考えられています。下肢閉塞性動脈硬化症の5年後の死亡率は約30パーセントと報告されており、大腸癌よりも予後が悪いとされています。このため下肢閉塞性動脈硬化症を全身性の動脈硬化症として捉え、包括的に全身管理を行うことが重要です。

下肢閉塞性動脈硬化症の症状

1.初期症状(間歇性跛行 図1)

  • 歩くと足が痛くなり歩けなくなる。
  • 立ち止まって休むと痛みが軽くなり、また歩けるようになる。

間歇性跛行症状イラストの画像

2.進行期症状(安静時疼痛、潰瘍、壊疽 図2)

  • じっとしていても足が痛い
  • 褥瘡や水虫など足にできた傷がジュクジュクして治りにくい。
  • 壊死が起こって黒くなる。

重症虚血肢に対するカテーテル治療前後の画像

下肢閉塞性動脈硬化症に対する検査

 下肢閉塞性動脈硬化症に対する最も代表的な検査としては、血圧脈波検査(ABI)があります。ABIは侵襲もなく簡単に行うことができる検査法であり、手の血圧に対する足の血圧の比を数値で示したものです。正常値は1以上ですが、動脈硬化が進行してくると、次第に低下してきます。ABIが0.9以下であれば、下肢閉塞性動脈硬化症の可能性が非常に高いので、さらに他の検査が必要となります。例えば、造影CT検査、下肢動脈エコー検査、血管造影検査、皮膚灌流圧検査(SPP)などがあります。

下肢閉塞性動脈硬化症に対する治療法

  1. 運動療法
  2. 薬物療法
  3. カテーテル治療
  4. バイパス手術

 運動療法と薬物療法を行っても症状が改善しない場合には、カテーテル治療、もしくはバイパス手術による血行再建術を行います。当院ではカテーテルによる血管内治療を行っています。カテーテル治療は体への負担が軽く、低侵襲です。多くの患者さんに対してカテーテルによる血管内治療を行っていますが、カテーテル治療が困難の場合には外科的なバイパス手術療法が必要となります。当院では外科的な手術対応が不可能ですので、このような場合には、近隣の関連施設に手術を依頼しています。カテーテル治療とは足の動脈の病変部に対してカテーテルを挿入し、バルーンによる拡張を行い、必要があればステントを留置し、血流を改善させる治療法です。従来であれば足を切断していたような重症虚血肢に対しても、適切な治療を行えば足の切断をしなくてもすむようになってきています(図 2)。

当院における取り組み

 当院の循環器内科では下肢閉塞性動脈硬化症を単に足の病気としてではなく、全身性の動脈硬化性疾患として捉えることにより、包括的な医療に取り組んでいます。下肢閉塞性動脈硬化症に対するカテーテル治療だけではなく、生活習慣の改善、禁煙指導、血圧、コレステロール、糖尿病のコントロール等も非常に重要です。また必要に応じて心臓血管疾患、脳血管疾患についても精査、治療を行っています。特に重症虚血肢に関しては、循環器内科医のみでの対応は困難であることも多いため、皮膚科、整形外科の専門医、そしてフットケア認定看護師とも連携を取りながら、チーム医療として取り組んでいます。​
ハートイラストの画像

 下肢閉塞性動脈硬化症に関する相談・治療を希望される方は、どんな些細なことでも構いませんので当院循環器内科外来を受診していただくか、もしくは当院内科外来スタッフにいつでもお気軽ご相談ください。

不整脈 ―心房細動・発作性頻拍・心原性失神・突然死―

不整脈とは

 脈拍の異常のことで、リズムがばらばらな状態をさすことが多いです。たまに1回脈が飛ぶ、脈が速い、遅いというのも不整脈に含まれます。さらに、右心室と左心室の収縮タイミングのずれ、心房と心室の同期が不適切であることも不整脈です。放っておいてもよいものが多いのですが、生命を脅かすものもあります。

不整脈の原因

 特に原因がないものがほとんどです。起こりやすい体質であったり、過労で起こりやすくなったり、高齢になると多くなるものもあります。心筋症、心筋梗塞、甲状腺疾患、サルコイドーシスという病気が不整脈の原因となることもあります。利尿剤や、漢方薬(特に甘草)などによる電解質異常から不整脈が起こることもあります。

動悸の3種類

 動悸と言っても色々です。主に、ドッキン、ドッキンと鼓動が強くなる心悸亢進、ドキっと脈が飛ぶ脈拍欠滞、ドキドキドキっと脈が速くなる頻脈感の3種類が多いかと思います。心悸亢進は不整脈でないこともあります。脈拍欠滞は期外収縮など。頻脈感は病的不整脈のこともあれば生理的現象のこともあります。

主な不整脈

(1)心房細動

 心房の収縮が不規則で速く小さくなり、心室のリズムがばらばらになります。心室のリズム次第で、脈がはやくなることも遅くなることもあります。はやくなる場合には心不全をきたしやすくなります。脈が遅い場合は立ちくらみ、失神、心停止の危険があります。正常な脈拍にする必要があります。動悸がなければリズムをもどす必要はありません。心房細動で知っておくべき大事なことは、脳梗塞の危険が高いということです。心臓の中で血液がうっ滞を起こし、凝固しやすくなります。脳梗塞のリスクの高い心房細動患者では、血液が固まりにくくなる薬を使用するよう、日本循環器学会のガイドラインで推奨されています。心房細動を治すカテーテルアブレーションという手術が近年広まっています。

(2)発作性上室性頻拍

 心房の収縮が急に早くなるため、脈が速くなる。お薬や、カテーテル手術で治療します。

(3)心室性期外収縮、上室性期外収縮

 ときどき脈が飛ぶというときはこのことが多く、多くは特に治療は必要ありません。しかし、稀に心臓病がかくれていることもあるので、精密検査をしておくほうがよいでしょう。

(4)徐脈

 脈拍がゆっくりした状態です。立ちくらみや、失神を起こします。突然目の前が真っ暗になることもあります。軽症の方でも長期間治療しないと、心機能が低下してくることもあります。そのまま心停止することもあるため、検査が必要です。脈が遅くても症状がない場合は治療が必要ないことも多いです。

(5)突然死

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 突然心臓が痙攣したようになりポンプ機能が損なわれ、脳に血液が流れなくなり意識を失い、救命処置をしない限り死亡してしまう不整脈があります。心室細動です。最近普及しているAED(自動体外式除細動器)で心拍再開できる場合もありますが、それまでにかかる時間が問題です。心拍再開が1分遅れるごとに助かる可能性が9%なくなっていきます。発見したらすぐに胸骨圧迫が必要です。心拍再開するまで続けなければなりません。

心不全 ―ポンプの異常・ホルモンの異常―

心不全とは

 もともとは心臓の血液を運ぶ力が低下し、全身組織への血液供給量が不足した状態(左心不全)をさしますが、最近、心臓が原因でなくても、血管収縮異常、肺疾患、腎機能障害、ホルモン異常、神経の異常興奮により心不全が誘発されていることがわかってきました。

心不全の種類

(1)肺水腫

 血圧上昇のため心臓が動脈へ血液を押し出せない状態。静脈からは血液がどんどん心臓に戻ります。行き場のない血液が肺を圧迫し、呼吸ができなくなります。血圧の上がる原因として、腎臓由来ホルモンのレニン、副腎由来ホルモンのカテコラミン、脳(下垂体)由来ホルモンのバゾプレッシン、自律神経による血管収縮作用などが複雑に絡み合っていると考えられています。これらホルモンや、神経の作用をいかにコントロールするか、圧迫された肺へいかに酸素を取り入れるかが大切です。循環器専門ではない施設では、適切で素早い処置ができず、人工呼吸器の使用率が高くなったり、救命率が低くなったりします。

(2)ポンプ不全

 心臓の収縮力が低下し、血圧が下がります。収縮力の回復のため、急性期は強心剤を使用することもありますが、安定後は心負荷をかけない薬剤に切り替えていきます。

(3)急性冠症候群

 虚血性心疾患により心不全が出現した状態です。適切な時期に血行再建が必要です。

(4)他

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 徐脈、出血、脱水、右心不全、腎不全なども左心不全に類似の症状をきたします。それぞれに対する治療を行います。


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