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病院事業管理者からの報告
令和6年4月1日
病院事業管理者 兼 院長 生田 肇
新年度のあいさつ
私が病院事業管理者兼院長に就任してから4年が経過しました。この4年間は、新型コロナウイルス感染症に翻弄された4年間という結果となりましたが、2023年5月8日にインフルエンザなどと同じ5類への変更となり、ようやく対新型コロナ感染症医療体制の終息を迎ええようとしています。しかし、新型コロナ感染症自体はなくなったわけではなく、現在も一定の感染者が発生しております。当院は第二種感染症指定医療機関でもあり、引き続き新型コロナ感染症対応を行っていきます。
国内医療情勢では『医師働き方改革2024年度問題』があります。年間960時間以上の時間外勤務をさせてはいけないということですが、現状では一部の医師の時間外労働が過労死レベルということであり、それを防止する目的の制度です。勤務医にとっては喜ばしい制度ですが、管理者にとっては対応を迫られる問題です。これによりマンパワー的に市民への医療サービスが低下することが考えられますが、当院を個別にみてみると、時間外勤務に関して、いままでも適切に対応できており、神戸大学の応援医師の負担に対しても従来からその仕組みができており、この制度によって加西市民に対する医療サービスの低下をまねくことがないようにしたいと思います。
さて、老朽化に伴う新病院建て替え問題に関しては、昨年度の市長選挙の議論の中で、建て替え費用の高騰が問題となり、既存の路線であった現地建て替えから別の場所に建て替える方針となりました。病院の機能、規模に関しては、予定どおり、2030年に病床数を136床(急性期56床、回復期80床)にまでダウンサイズしていく方向性です。市長の諮問委員会である『新病院にかかわる基本構想、基本計画検討委員会』が構成されており、この4月1日時点で第二回の会議がおわり、今年度前半に市長へ答申が行われる予定となっています。
当院のかかえる医師不足の問題では国、県が考える地域医療構想と関連しています。地域医療を考える中で、「その地域の中に基幹病院を設定し、医療者を集約化していくことにより、効率的な医療を行う。」ということと思います。加西市民の医療を当院で完結できないことは以前からありましたが、それがより鮮明となってきます。人口、患者数の統計データが参考にされ、人口減少の中でも高齢者人口の増加が今しばらく続きますが、2040年には高齢者も減少し、患者数が減ります。その中で加西市民の医療をどうするかに関しては、北播磨地域の医療をどうするかの中で考えていくことになります。ひとつには医療者を北播磨総合医療センターに集約することにより、加西市民の急性期、高度急性期の医療を担ってもらう仕組みを作っていく。現時点ではハード、ソフト両面において課題が多く、すぐには対応困難ですが、将来にむけて、その仕組みを作っていく。検討事項としては急性期医療の機能分化を地域全体で考えていく、在宅医療の仕組みを考えていくなどです。加西病院において、医師不足が進んでいますが、可能な急性期医療は引き続き担っていきます。回復期の医療を進めていきます。対応困難な加西市民の急性期医療を基幹病院と連携する仕組みを成熟させていく。このような当院の役割を理解し、実践できる医師を求めていく。
来年度の病院目標『やさしい病院への方策を具現化していこう』としました。これから当院が向かっていく病院機能の方向性、新病院の建て替えを考えて、ソフト面、ハード面でこのテーマを議論していく一年にしたいと思います。