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消化器内科 主な検査内容

記事ID:0003449 更新日:2023年5月10日更新 印刷ページ表示 大きな文字で印刷ページ表示 <外部リンク>

消化器内科 主な検査・治療

(1) 内視鏡検査

1)苦痛の軽減

 「胃カメラはつらい」「大腸内視鏡は痛いと聞いている」などと、検査を躊躇される方も多いと思いますが、様々な工夫で苦痛の軽減を図っています。
 そのひとつが、平成18年度と近隣の中でも比較的早期に導入した経鼻内視鏡です。「鼻の穴からカメラを挿入する」と聞くと少し敬遠されるかもしれませんが、通常の内視鏡よりも細いことと、ノドの奥を刺激しないためにほとんどの方が検査を楽に受けることができます。症状のない方の検診目的(人間ドックなど)に主として使用しています。
 それ以前から、少しでも楽にカメラを受けたいと希望される方に対しては、鎮静剤(眠り薬)や鎮痛剤(痛み止め)を注射して検査を行うようにしています。人によって効き具合が異なりますが、良く効いた人では「検査を受けたことも覚えていないくらい楽だった」と言われる方もおられます。検査後に眠気やふらつきが残るために、車を自分で運転して帰ることができません。なるべく、同伴の方とご一緒の来院をお願いしています。
 治療内視鏡は通常の内視鏡検査よりも時間が掛かることと、最近は認知症などで検査に協力しにくい患者さんが増えてきているために、ほとんど全例で鎮静剤を使用しています。うつらうつらしているうちに治療が終了することが多く、検査を受けたことも覚えていない方もおられます。

2)詳細な観察による適切な診断

 これまでの色素内視鏡検査に加えて、平成19年度に狭帯域光観察(NBI)と拡大内視鏡を導入しました。これらにより、早期癌の発見が容易になって見落としが防げるだけではなく、治療を必要とする病変かどうかもその場で判断できるようになりました。また、内視鏡的治療が可能かどうかを判断する上で重要な、どの範囲に癌が拡がっているのか、どの深さまで癌が進行しているのかなどを的確に判定しています。
​ 令和3年度には狭帯域光観察であるBlue Laser Imaging(BLI)やLinked Color Imaging(LCI)を導入し、2種類の特異的な波長の光を用いた観察が可能となり、腫瘍の質的診断や発見に役立っています。

(2) 治療内視鏡

1)緊急内視鏡

 消化器疾患は吐血・下血・腹痛など、突発的に生じる症状で始まることも多く、専門医の対応が夜間や休日でも緊急で必要となります。消化性潰瘍・食道静脈瘤破裂などによる消化管出血や総胆管結石による胆管炎は緊急内視鏡による迅速な対応を必要とすることが多く、可能な限り早期に内視鏡的治療を行っています。

2)内視鏡的粘膜切除術

 胃・食道・大腸など消化管に発生したポリープや早期癌に対して、適応を十分に検討した上で内視鏡的切除術を行っています。
 特に大腸ポリープや大腸癌は近年著しく増加してきています。これまでは、治療後に生じる恐れのある出血等の経過観察のために一泊入院の上でポリープ切除術を行ってきましたが、危険性の少ないポリープは外来でも行うように変更しましたので、これまでよりも負担少なく治療を受けてもらえるようになりました。下剤による前処置で体調を崩す恐れのある高齢者の方や、便秘がひどくて前処置がうまくいかない方は、検査前日に入院して安全確実な検査が行えるような対応もしていますので、ご相談下さい。

3)内視鏡的胃瘻造設術

 この地域でも高齢化は着実に進んでおり、脳梗塞などの病気によって自分で食事を飲み込むことが難しくなった患者さんが多くなっています。そういった経口摂取が困難な患者さんに対しては、ご本人や家族の方の希望を確認した上で、栄養状態改善を目的とした内視鏡的胃瘻造設術を行っています。

4)内視鏡逆行性胆膵造影検査、胆管結石採石術、胆管ステント留置術

 内視鏡的逆行性胆道膵管造影(ERCP)は、内視鏡を口から入れて十二指腸まで進め、胆管や膵管に直接細いカテーテル(チューブ)を挿入し、造影剤を注入してX線写真を撮影することで、胆管や膵管に結石(胆管結石、膵石)や悪性腫瘍(癌)があるかどうかを調べる検査です。癌が疑われる場合には、胆管や膵管の細胞を採取し病理検査を行います。胆管結石が見つかった場合、除去することができます。胆管に狭窄がある場合、ステントと言うプラスティックや金属の管を胆管に挿入して、消化液である胆汁の流れを回復させることができます。胆汁の流れが悪くなると細菌感染が起こりやすくなり、敗血症という重篤な状態に移行しやすいですが、ステント治療が行えるようになったことで命に関わるほど重症になる患者さんの数は減少しました。​

 尿が一日中濃い、白目(眼瞼結膜)がいつもより黄色いなどは黄疸の初期症状の可能性がありますので、早めに受診してください。​

(3) 慢性肝疾患に対する集学的治療

1)B型肝炎・C型肝炎に対する治療

 B型肝炎やC型肝炎はウイルスの持続感染により生じる慢性肝炎で、特段に症状を呈しないままに肝硬変や肝癌へと進行する病気です。肝癌のおよそ7から8割がB型やC型肝炎によるものであり、適切な治療で肝癌を予防することが重要です。
 B型肝炎・C型肝炎に対する治療法はこの数年間で急速に進歩しており、その多くが治癒あるいは進行を食い止めることが出来るようになりました。比較的費用が掛かる治療法ですが、助成金制度の導入によって自己負担額が格段に軽減されたため、治療が受けやすくなっています。不安を感じられる方は、遠慮なくご相談ください。
 C型慢性肝炎はこれまでインターフェロンという注射薬による治療が治癒させる唯一の治療法で、肝癌発生率も確実に低下することが既に証明されていましたが、副作用の多いことが問題でした。2014年から飲み薬による治療法が保険適用となり、現時点では8から12週間の内服治療によって副作用もほとんどなく、ほぼ全例の患者さんを治癒させることができるようになりました。
 専門医はおろか医療機関にも掛かっておられず、適切な治療が受けられていない方が、まだ多く残っていることが問題となっています。また、数年前の常識が通用しなくなっているのも事実です。抗ウイルス治療から肝癌の早期発見のための画像検査および治療まで、肝疾患の患者さんに対して最新の知識技術で、責任もって対応したいと考えていますので、ご気軽に受診して下さい。

2)肝生検

 肝疾患の多くは外来で行う血液検査や画像検査によって診断がつきますが、下記の疾患の正確な診断や治療方針の決定には「肝生検」が必要です。局所麻酔下に肝臓の中に細い針を刺して、少量の肝組織を採取する検査で、得られた肝組織は後日、顕微鏡検査で詳細に検討します。痛みはごく僅かですが、出血の危険性がありますので、本院では一泊二日の入院で行っています。

  • 原因不明の肝障害の診断。
  • 自己免疫性肝炎、原発性胆汁性肝硬変、原発性硬化性胆管炎などの特殊な慢性肝炎の診断や進行度の把握。
  • 脂肪肝と非アルコール性脂肪性肝炎の鑑別。
  • 画像検査で判断が困難な肝腫瘍の悪性度診断。

3)肝細胞癌に対する治療

 肝癌に対しては最も根治性が高い外科的切除から、負担のより少ないラジオ波焼灼療法や適応範囲の広い肝動脈塞栓療法など、各種治療があります。肝癌の発生した部位や進行度、肝予備能、患者さんの年齢や併存疾患などを考慮に入れて、適切な治療方法を選択します。これまではほとんどの治療を本院で行ってきましたが、残念な事に、スタッフの減員で、当院での肝細胞癌治療は困難となっており、希望される近隣の高次機能病院へ紹介させていただきます。

ラジオ波焼灼療法

 細い針を超音波で確認しながら腫瘍に刺して、ラジオ波(高周波)によって針の先端周辺を熱することで腫瘍を焼いてつぶす治療法です。手術の近い根治性が得られると共に、患者さんへの負担の少ないが特徴で、1週間前後の入院で済みます。

(4) 総合的な癌治療

 癌の発生部位・進行度・患者さんの年齢や併存疾患などを考慮に入れて、様々な治療方法の中から個々の患者さんに合った方法を選び、組み合わせていくことがとても重要です。
 粘膜内に留まる早期の食道癌・胃癌・大腸癌などに対しては内視鏡的切除を行うことで、患者さんへの負担を減らした治療で完治が可能となっています。それを超えて進行した癌でも他の臓器に転移がなければ、多くの場合、外科的切除により完治が期待できます。さらに手術も困難なほどに進行した癌では一般的には完治は望み難いものの、最近の化学療法(抗癌剤治療)により、苦痛を減らしながら残された命を延ばすために戦うことが出来ます。完治が難しい状況でも、痛みを含めた患者さんにとって辛い症状は可能な限り取り除いて、最期までサポートいたします。

最終更新日 令和5年5月10日


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