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在宅NIPPV療法
在宅NIPPV療法
在宅酸素療法中の方へ
<在宅NIPPV療法(鼻マスク間欠陽圧人工呼吸器)で、生き生きした暮らしを!>
加西病院では、1998年から、鼻マスク間欠陽圧人工呼吸器による、呼吸管理に取り組んでいます。(英語のNon-invasive Positive Pressur Ventilationの頭文字をとって、NIPPVと呼ばれています。)
Q&A
Q1. NIPPV療法とは何ですか?
A1. 慢性呼吸不全の患者さんの中には、低酸素血症に加えて慢性的に炭酸ガスが蓄積するタイプの呼吸不全の方があります。以前は症状が進行し、状態が悪くなると、気管を切開して、そこから人工呼吸器をつけて入院生活をおくらなければならない方もおられました。
非侵襲的陽圧換気(NIPPV)療法は、小型で軽量な鼻マスク式の人工呼吸器をつけて、換気を行うものです。苦痛を伴いやすい気管切開による人工呼吸に比べて、自宅でできる、患者さんにやさしい人工呼吸法です。
Q2. どのような器械ですか?
A2. 器械自体は、軽量でコンパクトなもので、在宅での使用に十分耐えるものとなっています。音も静かです。
Q3. どのように使うものですか?
A3. 鼻マスクを、一日6時間~8時間、主に夜間帯に装着していただき、換気の補助を行うとともに、呼吸筋の疲れをとって、翌日の身体の動きが少しでもスムーズに行えるようにします。操作は比較的簡単です。使用法については、入院して頂き医師や看護師が詳しい説明をします。
Q4. どのような疾患や、症状の人が適応ですか?
A4.NIPPV療法の適応がある疾患は次のようなものがあります。
- 慢性閉塞性肺疾患(喘息、肺気腫等)
- 気管支拡張症
- 進行の遅い筋ジストロフィー
- 麻痺性後側弯症
- 睡眠時無呼吸症候群 など
症状としては、『普通に動いて息切れがする。』『朝起きて、活動しようとすると、頭痛がする。』『昼間にしんどくて、ついうとうとと寝入ってしまうことが多くある。』などです。これらの症状は血中に必要以上の二酸化炭素が蓄積している可能性を示しています。
Q5. NIPPVの効果はどのようなものがあるのでしょうか?
A5. NIPPVの目的は、高炭酸ガス血症を伴う呼吸不全(換気不全)の患者さんに対して、苦痛を与えずに換気の補助を行うことで、次のような効果があります。
- 血液ガスの改善(PaCO2低下、PaO2の上昇)
- 高炭酸ガス血症に由来する体動時の息苦しさなどの自覚症状の改善
- 身体的活動の改善による、日常生活行動の拡大、そしてクオリティオブライフの向上
- 再入院日数の減少、医療費の軽減
Q6. 在宅でNIPPV療法を実施するにはどうしたらよいでしょう
A6.
- まず内科呼吸器外来を受診して下さい。
- 外来通院時に、NIPPV適応と判断されたら、説明を受けて入院となります。
- 入院時、医師や看護師から導入にあたっての詳しい説明を致します。
- 加西病院オリジナルの「NIPPV導入から在宅移行時看護チェックリスト」を基に装着の練習をし、ゆっくりと慣れていただきます。家族の方にも詳しい説明をします。装着に慣れると、器械をもって自宅へ試験外泊をします。
- 器械は病院を通じて、業者からレンタルされます。在宅での保守点検は業者におまかせ下さい。
- 患者さんは、毎月一回、加西病院の呼吸器外来に受診していただき、身体の状況や、器械の装着状況などの点検を受けて下さい。
担当看護師から
さまざまな原因による低肺機能のため、ベッドで寝たきりとなったり、絶えず感染を繰り返し、従来なら、気管切開、挿管による人工呼吸療法を選ぶしかなかった患者さんが、NIPPV 療法の導入により、これらの苦痛や感染の危険から開放されることができるようになりました。
慣れ親しんだ在宅での療養は、患者さんや家族の方の心理的負担をやわらげ、生活の質を向上させることに役立つと考えております。
尚、この療法の適応については、患者さんの病状や病期等や、この療法についての理解をしていただけることが条件になります。そこで外来通院時によく医師に御相談下さい。また、導入にあたりましては、器械からの送風や、鼻マスクの装着に関する違和感などがありますが、患者さんがこの療法にうまく適応していただけるよう、スタッフ一同心をこめてケアさせていただきます。
睡眠時無呼吸症候群の方へ
- 1泊2日の入院で睡眠時無呼吸の検査を行っております。
検査を希望される方は内科外来までお問合わせください。 - 1割負担の方の場合
約10,000円 + 個室料金(2日分) - 3割負担の方の場合
約30,000円 + 個室料金(2日分)
(※但し、加入されている保険や老人医療の負担割合に応じて費用が算定されますので詳しくは医事課窓口でご相談ください。)