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収容所外の世界
捕虜たちは、収容所外の世界ともつながっていました。彼らが見た当時の日本の風景も、写真に写し取られています。
下の3枚の写真は、かつての北条の町並みを写したものです。
1枚目)鉄道開通時の北条(三枝正明氏所蔵)
2枚目)捕虜が撮影した北条(ハンス=ヨアヒム・シュミット氏提供)
3枚目)北条を眺める捕虜たち(ディーター・リンケ氏所蔵)
左の写真は、青野原収容所が開設される直前の1915(大正4)年3月に北条を地元住民が写したものです。ちょうど播州鉄道の粟生駅~北条町駅間(北条支線)が開通し、北条町駅の開業でにぎわう姿が捉えられています。
中央と右は、捕虜が撮影した写真です。つまり、青野原収容所に捕虜がやってきた 1915(大正4)年9月以降に撮影された写真ということになります。左の写真と比べると、北条町駅の周りに大きな建物ができているのが分かります。そして右の写真になると、すでにあった建物の向かい側に新しい建物が増えています。したがって、これらの写真は撮影時期によって左から順に並んでいるということになり、捕虜が北条を複数回訪れていることが分かります。
また、これらの写真は後景にある山並みや道路の様子から、金刀比羅神社(北条町東南)から撮影した風景であることが分かっています。
現在の北条(金刀比羅神社から)