本文
県指定文化財 北条の五百羅漢
ふりがな 名称 |
ほうじょうのごひゃくらかん 北条の五百羅漢 |
---|---|
指定年月日 | 平成30年3月20日 |
所在地 | 北条町北条 |
大分県耶馬渓山、山梨県吉沢の羅漢とともに全国的に有名な石仏であり、古くから「親が見たけりゃ北条の西の五百羅漢の堂に御座れ」とうたわれ、面貌の異なる石仏の中に、必ず親や子に似た顔があると言われています。素朴で表情豊かな野の仏として多くの人々に親しまれています。
角柱状の石材を加工した羅漢立像が大半を占めるほか、釈迦三尊像や大日・阿弥陀如来像、天女型坐像など459体で構成されています。
羅漢立像は、角柱の石材を括れさせて頸部とし、頸部以下は角柱のまま浮き彫りや陰線刻で両手や衣を表現しています。石材に「高室石」(通称)と呼ばれる凝灰岩を用い、表現方法も概ね統一されています。
近世は南に近接する酒見寺に属し、寺伝で「天正年間に兵火によって焼失した後、慶長年間に再建した」とされることに対し、無銘のものが多い中で金剛力士坐像などに慶長年間の紀年銘が見られ、天保十一年以降に刊行された『田安領記』に「慶長十五年戌閏三月廿六日高瀬清右衛門再興」と起源が記されることから、17世紀前半の酒見寺再興に伴う整備や信仰・供養のため造立されたと考えられています。
17世紀前半に酒見寺の再興に伴う寺内整備や信仰・供養のために造立された石仏群が、原位置で現在まで保存されてきたことは、中世から近世初頭における寺院の再興など、播磨における当時の社会的な動向を検討する上で、貴重な石仏群です。