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文化財調査 史跡笹塚古墳
史跡笹塚古墳(第2次)現地説明会資料
平成13年11月4日調査
はじめに
笹塚古墳は昭和53年に玉丘古墳群として国指定史跡となりました。加西市では史跡整備を今後実施していくうえでの基礎資料を得るために、今回、墳丘部の確認調査を行いました。調査も終了に近づきましたので、ここにその成果の一部を紹介いたします。
笹塚古墳について
(1)笹塚古墳の経歴
- 5世紀後半~末頃 古墳が築造されました。(約 1500年前)
- 大正時代 主体部(埋葬部分)が盗掘され、刀剣類が出土したといわれています。
- 戦後 粘土取りにより墳丘の1/4が破壊されました。
- 昭和53年 史跡指定(玉丘古墳群)されました。
- 平成3年 区画整理事業に伴う調査で外提部の調査を行いました。(東長本古墳、芝中古墳、東長本遺跡を確認)
- 平成10年 史跡整備に伴う第1次調査で周濠部の調査を行いました。(帆立貝式古墳であることが判明)
- 平成13年 史跡整備に伴う第2次調査で墳丘部、主体部の調査を行いました。
(2)笹塚古墳の概要
- 墳形 帆立貝式古墳
- 後円部 径約43m、高さ約5m
- 前方部 長さ約8m、幅約15m
- 主体部 竪穴式石室
- 墳丘施設 埴輪列?・葺石?
3.今回の調査成果
(1)主体部について
- 竪穴式石槨であることが確定しました。
- 石槨蓋石は6枚残っていました。(内3枚は石槨内にずれ落ち、残りの3枚は石槨外に取りはずされています。)
- 蓋石は凝灰岩(高室石か?)製で、表面に明瞭な加工痕が残り板状に丁寧に加工されています。
- 蓋石の規模は一枚が幅約1m、長さ1.3m、厚さ23cmです。
- 石槨の長軸は北西--南東の方向で、古墳の軸方向とほぼ並行です。
- 規模は内法で幅80cm、長さ4m前後と推定されます。
(2)墳丘部について
- 墳丘は墳丘土の自然流失や後世の土取り?により改変が加えられたようで、1m程度の新しい堆積層でおおわれています。
- 墳丘はおそらく2段築成と推定されます。
- 流失土内から円筒埴輪の破片が多数出土したことから、埴輪列が存在したこと考えられますが、位置などは不明です。
- 凝灰岩の割石が数個みつかり、葺石の一部とも考えられますが、元の位置にある葺石ではなく、詳細は不明です。
4.まとめ
今回の調査では、主体部である竪穴式石室について数多くの成果が得られましたが、石室内の状況については未調査であり、今後の課題として残りました。また、墳丘部については、後世の改変が著しく、詳細は不明のままでありますが、今後の整理作業により、推定復元を試みていく予定であります。今回の調査で得られた調査結果は、これまでの調査成果とあわせて、笹塚古墳の整備事業の基礎資料として活用して参ります。