ページの先頭です。 メニューを飛ばして本文へ
現在地 トップページ > 分類でさがす > くらし > 妊娠・子育て > 教育 > 教育委員会 > 教育長雑感 「日々是好日」〈30〉

本文

教育長雑感 「日々是好日」〈30〉

記事ID:0026486 更新日:2022年5月6日更新 印刷ページ表示 大きな文字で印刷ページ表示 <外部リンク>

時代が人をつくる

シジミバナ

令和4年5月6日

3月31日、4月1日の年度替わりは退職者辞令交付、感謝状授与、人事異動伝達式、辞令交付式と、朝から夕方まで息つく暇なく首長部局、教育委員会を右往左往し、自分でも次は何をするのかわからないほどハードな48時間でした。

 一連の式典のなかでも、加古川プラザホテルで開催された兵庫県播磨東地区退職教職員感謝状贈呈式では、さまざまなことが脳裏をよぎりました。

この日の来賓のご挨拶に、「今年定年退職を迎えられた大半の教職員は1984年に教員になられた。バブル期と呼ばれた好景気の入り口だった」というお話がありました。思い返せば、当時は土曜日にも授業がありました。これが隔週土曜休みになったのは1995年から。2002年に完全週休2日になりました。

84年といえば、70年代末から校内暴力の嵐がまだ残り、テレビドラマ「スクールウォーズ」が放映された年です。当時の中学校の先生方の中には、「学校が戦場のようで、すさまじかった」とおっしゃる方もいます。「今年定年を迎えた管理職は、そうした生徒たちを自力で鎮静化させたという自負を持っている人たちなんだ」と、同席した他市町の教育長がおっしゃっていました。なるほど、時代の風を受けて人はつくられるのだと実感しました。

それにつけてもなぜ、子どもたちはそんなに荒れたのでしょうか——。当時ささやかれた言葉に「腐ったミカンの方程式」というのがありました。腐ったミカンは同梱の他のミカンも腐らすから、早く排除しないと危険だ、というものです。バブルに沸く社会で、モラルを捨てて「何でもあり」に堕していく大人たちの姿を目の当たりにし、学校では「腐ったミカン」のレッテルを貼られたら、感受性の強い子どもたちの心は病むか荒れざるを得なかったのではないでしょうか。

いわゆる「詰め込み教育」と、激しさを増す「受験戦争」。「落ちこぼれ」ていく(じつは教師が「落ちこぼして」いく)子どもたち。その対応策として、新学習指導要領で学習内容が削減され、2002年から、いわゆる「ゆとり教育」が始まり、校内暴力は沈静しましたが、教育の在り方は激変しました。2022年春に定年を迎えられた先生方は、まさにこうした30数年を教壇に立たれてきました。

定年を迎え、静かに現役時代を振り返られるとき、お一人おひとりの中に、新しい時代の教育への新しい提案が生まれることを願っています。

加西市教育長 民輪 めぐみ

オススメ
  • 気球の画像
  • 紫電改の画像<外部リンク>
  • 播磨の国風土記の画像