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令和3年12月9日
11月中旬、とてもうれしいニュースが飛び込みました。
前回ご紹介した「ONEDAY STEAM」にも参加してくれていた、加西市立西在田小学校の6年生が、「SDGsクリエイティブアイデアコンテスト2021」で、優秀賞に選ばれたのです。一人一台タブレット時代の到来を受けて、ICTリテラシーの向上を狙って行われるこのコンテストには、全国の小学校、中学校、高等学校から1500作品(100校以上)が応募。12月19日にはオンラインで作品発表会が行われるそうですが、小学校の部で選ばれた優秀校4校のうち、なんと西在田小学校はネット発表のトップで紹介されているではありませんか!
自分が指導したわけでもないのに、私は自慢したい気持ちでいっぱいになりながら、記事を読み、「ぼくたちにできること~エコスクール×SDGs」と題した作品を視聴しました。西在田小学校は、全校生78人。6年生には女子がおらず、男子8人のクラスですが、山深い西在田の自然を愛し、小規模校であることをむしろ誇りとし、SDGsを「我がこと」として語っています。借り物ではないその主張を支えているのは、先輩たちから受け継いできた「エコスクール」の活動です。以前から、児童たちは校区を流れる若井川や万願寺川の水質を調査し、ビニール袋や空き缶を拾ったり、水辺の生き物を調査・観察してきたのです。
じつは昨年の夏、私は加西市の教育長になってすぐ、教育委員会の部課長と16人の校長先生に、SDGsのピンバッジを配りました。教育が取り組まなければならない課題は山積していますが、SDGsというテーマは、私がこれから加西市教育委員会で生きるうえで、同志ともなるべき人たちと共有したい問題意識の上位にあったからです。
今でこそ、教育委員会のほとんどの管理職が、スーツの襟に堂々とこのピンバッジをつけてくれていますが、当初、黙って観察していると、恥ずかし気に、なるべく目立たないように、しかし教育長の顔を立てて、といった風情で名札のネックストラップにそっとピンバッジをつけている男性もいて、正直に言って、SDGsって何? そんなに大切なの? と首を傾げた人もいたはずです。
そんなエピソードが「今は昔」と思えるほど、この一年でSDGsに対する社会の関心も認識もぐっと高くなりました。そんな折から、「6年生はわずか8人」「それも男子ばかり」と、どちらかというと小規模校としてマイナスイメージで見られがちな西在田小学校の6年生が、全国的に認められてSDGsで賞を獲得したことは、とてもうれしいことです。一人ひとり交代しながら全員が登場して、「ぼくたちにできること~エコスクール×SDGs」を自分の言葉で語っている姿は、10年後に社会人になる彼らの未来に、希望を感じさせます。
東京の友人に、「加西市の小学生のレベルがこんなに高いとは」と誉められて、ちょっといい気になっている私です。