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令和3年11月4日
月が変わったので、いつものように暦をはぐろうとしたら、わっ!
あと2枚しか残っていません。分かりきったことなのに、軽いショックを受けました。あまりにも超速で時間が過ぎ、焦りにも似た気持ちが沸きます。なんだか日々忙しく、神無月(かんなづき)は終わってしまいました。でも、嬉しいこともいっぱいありました。
その一つ。
先日、北条東小学校で、地元企業のPPESさんのご協力のもと、STEAM教育が実践されました。PPESプライム プラネット エナジー&ソリューションズ株式会社は、トヨタ自動車とパナソニックの合弁会社で、車載用電池の開発・製造・販売をしています。授業を見学に行くと、東京本社から2人もお見えになっており、全員で6人。PPESさんが本気で取り組んでくださっていると実感します。校庭には実車が3台。1台はディーゼル車、あとはエンジンとモーターで動くハイブリッド車と、モーターで動く電気自動車です。それを実際に動かし、エンジンルームを見せたり、車載用電池を見せたり。もちろん子どもたちは目を輝かせてワイワイガヤガヤ、のぞいて見て触っています。
その後は体育館で、エンジニアの方の講義が始まりました。5年生2クラスの子どもたちは、ちょっと難しいその話に真剣に聞き入っています。それぞれの車の動力源の仕組み、長所や短所、価格などを説明したあと、「君たちならどれを買う?」と質問。
手を挙げた女の子が「ディーゼル車!」と元気よく答えました。
「どうして?」
「安いから」
あらあ、大人なら義理にでも「電気自動車」と答えるかも。。。
ところが、子どもたちへの対応のし方が素晴らしい。
「そうだよねえ、やっぱり安くないと買わないよねえ。それが問題なんだよねえ」
「僕らはその問題を解決するために、毎日懸命に働いているんだよ」
私たち人類の滅亡に直結する地球温暖化や大気汚染、エネルギー問題。現代社会の課題に直面している今、環境の面からもエネルギーの面からも電気自動車がいいに決まっている。これを実現することが人類の未来を救う、というのは自明だけれども、コストが下がらなければ絵に描いた餅に終わる。当然、中国も追い上げてきている。国家的予算を注ぎ込んで。
PPESは、世界競争に勝てるのか?!
「勝たなければならない」
「ここが日本のものづくりの最後の砦なんだよ」
使命感と誇りを持って、僕たちは、ここ加西市から世界に挑戦しているんだ、とそのエンジニアさんは話を結ばれました。
この授業にはおまけがあって、子どもたちに課題が出されました。
「加西市にカレーレストランをオープンさせたいと社長命令が下った。成功させるための君たちのアイデアは?」
コスト面や時間短縮、労働力確保などの面から、一人ひとり考えて提案せよ、というものです。
ある男の子が言いました。
「100均で調理用具を買う! 材料は業務スーパーや」
もう一人女の子は「家で野菜を栽培して、それを材料に使って、安くて美味しいカレーを作る! 」
どんなに重要な、未来を切り拓く使命を負っていようとも、企業である限りビジネスにはコストも時間も大事だ。それをクリアしないかぎり、世界には勝てない。
子どもたちはカレーレストランを、成功に導けるでしょうか。
この課題に結論はありませんでした。一人ひとりが時間内に、自分の頭で考えて提案する。それが大事だから。