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教育長雑感 「日々是好日」〈17〉

記事ID:0021418 更新日:2021年10月21日更新 印刷ページ表示 大きな文字で印刷ページ表示 <外部リンク>

ふるさとは近きにありて

夕焼けの写真

令和3年10月21日

10月11日の午後、市民会館小ホールで、第一回「加西市 未来の学校構想検討委員会」が開かれました。教育委員会が事務局を務め、委員には保護者代表はじめ、こども園の園長や小中学校の校長、社会教育委員や区長、老人会、婦人会などの代表、学識経験者に市職員なども加えて17名にお願いしました。

会長には、以前、加西市の教育委員をお務めいただいたこともある神戸大学大学院人間発達環境学研究科の渡邊隆信教授。渡邊先生は、将来教師を目指す学生たちに、学校教育のさまざまな「当たり前」を、歴史的社会的な文脈のなかでとらえ直し判断する力をつけさせようとなさっています。「日本では今日なお、四角い部屋のなかで黒板を背にした教師が、30~40人の子どもたちと向かい合っている光景が一般的ですが、昔の教室は、あるいは他の国々の教室はどうなっているでしょうか?」。日本の現代の「当たり前」が、実は自明でないことに気づき、それがなぜそうなっているのかを確かめ、そのうえで今後どうあるべきかを考える。学校教育を「比較」の視点から多面的に考察しようとなさっています。

副会長は兵庫県に生まれ、民間から文科省にお入りになり、兵庫教育大学でも教鞭をお執りになって、現在は北海道十勝うらほろ樂舎の理事をなさっている上田真弓さんです。「子どもの未来を語ることは、地域の未来を語ること」が持論で、ご自宅は丹波市です。上田さんは、地域全体で子どもたちの学びや成長を支えるため、地域と学校が連携・協働する。それが、地域による学校のより深い「支援」につながっていき、地域と学校のパートナーシップへと発展することを目指して実践されています。子どもだけでなく、大人も共に学び合い育ち合うことで、社会変化を乗り越え、「次世代に渡すバトン」をつないでいこう、と主張されている方です。

日本全国で急速に進む少子化。押し寄せるSociety5.0の大波。教育長に就任して1年3か月がたちましたが、その間に発表された加西市の人口統計で、令和2年度の出生者数が190人だったと発表されました。コロナ禍の下とは言いながら、1年間に市内で生まれた赤ちゃんの数が200人を切ったというのは、ショック以外の何ものでもありませんでした。

それだからというわけではありませんが、教育委員会の中でも、子どもたちの未来を見据えた「教育のあり方」、「学校のあり方」、「具体的な方向性」を真剣に話し合ってきました。いま、ここで教育、学校のあるべき姿を考えるということは、現在の小中学校の生徒たち、つまりは20年、30年後の「未来の加西市の大人たち」の姿や生き方に直結する大変重要な課題です。それは、地域における学校のあり方を指し示すことにもなり、加西市の教育行政のみならず、未来の加西市のあり様に対しても重い責任を担うことになると思っています。

45年近くを東京という異郷に暮らした私にとって、ふるさと加西は「遠きにありて思うもの」でした。何もないときにはほとんど忘れている。しかし、たとえば「ご出身はどちら?」と聞かれると、急に存在感が増し、「兵庫県加西市です」と応え、速攻「姫路市の東隣です」と付け加える。「ああ、姫路ですか」「い、いえ、あのその隣の・・・」。うーん、姫路じゃなくて加西だよぉ!

Society5.0でAIと協働する社会になっても、「大人になった子どもたち」が、自分が育った「山青く水清いふるさと」を大切に愛せるような教育の可能性を追求したい。これから約1年間の検討委員会では、忌憚のない意見と提案を交わし合いながら、「遠くにあるふるさと」ではなく、今を生きている加西市ならではの、「未来の大人に恥ずかしくない」学校構想を描きたいと思います。

加西市教育長 民輪 めぐみ

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