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きらめく加西人

vol.03 現代美術家〜記憶をたどって〜/吉本直子(よしもとなおこ)さん

写真1 吉本直子さん
<プロフィール>
吉本直子(よしもとなおこ)
1972年生まれ。小・中・高を通して加西市で過ごす。
1995年、京都大学教育学部教育心理学科を卒業。1997年、染織を学ぶため川島テキスタイルスクールに入学。
現在は個展を開いたり、展覧会に応募するなど精力的に制作活動をこなす。
2006年9月より、文化庁新進芸術家在外研修員としてイギリスへ留学。

写真2 吉本直子さん 写真3 吉本直子さん 写真4 吉本直子さん

−作品について教えてください。

主に古着を使った作品を作っています。テーマは布に残された「記憶」。私たちは「生」を儚い記憶に変えながら旅をし「死」に向かう。だからこそ、今を生きている実感がなによりもいとおしい。そういうメッセージを作品の中で表現できたらと思っています。
初期の頃はハンカチやタオルに自分の写真を転写して、そこから糸を少しずつほどいていって記憶が薄れていく様子を表現していましたが、最近は白いシャツを固めて作品を作っています。白いシャツは汚れやシミがはっきりと見え、人の過去や記憶の痕跡がはっきりと分かるんです。また白いシャツを使いはじめてから、「死」ということも考えるようになりました。全ての人は生きている間、時代も環境も何もかもバラバラだけど、死によって繋がることができる。白の集積の間に「死」によって繋がる力というのを表現したいと考えました。

−芸術家になろうと思ったのは何故ですか?

言葉によって自分自身を表現することに限界を感じたからです。大学で心理学を勉強していましたが、言葉で何かを表現しようとすると、大切な部分がげっそりと抜け落ちる様な気がして、言葉ではなく、もっと曖昧なモノを使って表現したいと思うようになりました。そして、大学を卒業するときに、一体自分は何がしたいのか、と考えたとき子供の頃のことを思い出したんです。昔から美術には興味があって、小学校の文集には「童話作家になりたい」と書いたと思います。だから何かを表現する仕事ならば、私は毎日を楽しく過ごすことができると考えて、芸術家になろうと思いました。

−もうすぐイギリスに留学されるとか。何故イギリスなのですか?

今回で3回目ですが、イギリスは私にとって縁の深い国。海外は日本と違って芸術を自然に受け入れる土壌があります。それにイギリスには、私の表現したいものを理解してくれる仲間がいますので、その人の所でいろいろなことを吸収したいと考えてイギリスを選びました。

−加西市についてどう思われますか?

私の原点ですね。今はいろいろな人にもまれて暮らしていますが、加西市に帰ってくると落ち着きます。電車で帰ってくるときに、地元に近づくにつれ言葉が変わってくるのを聞くと、「あ、それ私の言葉だ!」と感じますし、地蔵盆などの習慣も残っていますし、それがすごく懐かしく、嬉しいんです。緑も豊かで、そういうところは変わってほしくないですね。

写真5 吉本直子さん作品集

「芸術で食べていくことは難しいけど、何者にも変えがたい喜びがある。」と語る吉本さん。その瞳はこれからの未来を映すように、きらきらと輝いていました。

作品紹介

写真 作品1
初期作品:ハンカチに自分の思い出の写真を転写し、繊維をほどいていくことにより、「映像としての記憶」が薄れていき、「感触」として残ることを表現している。

写真 作品2
「古着による造形“Life in Death”」と題して2006年に開催した個展への出品作。

写真 作品3
2006年作。京都府美術工芸新鋭選抜展 最優秀賞受賞:縦150cm横130cm高さ180cm白い古着をかためて作られている。

写真 作品4
2006年作。第5回ヴァルセリーナ・アワード(イタリア・マニアーゴ)グランプリ受賞:縦25cm横15cm高さ13cm。6作品で1セット。 白い古着を本の形に固め、中には聖書の一節を転写する。

 

 


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