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「竺沙准教授と加西市の教育を考える会」を開催しました

写真 「竺沙准教授と加西市の教育を考える会」を開催しました 写真 「竺沙准教授と加西市の教育を考える会」を開催しました
写真左 講演をする竺沙(ちくさ)知章准教授
写真右 会場にはたくさんの方が参加されました

冬の夜の会

平成22年1月26日、加西市民会館に兵庫教育大学竺沙知章(ちくさ・ともあき)准教授をお招きして標記の会を開催しました。週の始まったばかりの午後7時から、しかも、真冬のお出かけになりにくい時間帯でしたのに、約170名の市民の皆様にご出席をいただきました。主催いたしました教育委員会から皆様に感謝申し上げます。
会の進め方については、委員会でいろいろ考えましたが、いわゆる講演会ではなく、まず、出席者が先生に質問し、それに先生が答えていく、そういう会にしようということになりました。

なぜ、竺沙准教授か

平成20年度に教育委員会は先生に2つの大きな仕事をお願いしました。
一つは、「未来の学校づくり検討委員会」の委員長。
これは、学校や幼稚園、保育所などの未来の姿を描くもので、学校の適正規模、適正配置、さらには学校の再編、幼稚園・保育所再編・民営化など市民にとっても、行政にとっても難しい課題を検討する委員会でした。
報告書は両論を客観的に併記する報告となりましたが、委員長は終始公正で中立的な委員会運営をされました。
二つ目は、「教育委員会評価委員会」の委員長。
「今回は、初めての評価だからこの程度でいいとするが、2回目以降は、項目を絞って次年度の動きに直結するような評価をすべきだし、予算要求を意識したものにもしていくべきだ」と強く指摘されました。
こういう力ある先生を講師にお願いしようということになりました。

いくつかのやりとり

はじめに、お断りしておきます。これは、この会の一問一答を録音したものを一語一語起こしたものではありません。教育委員会事務局で大意、あるいは雰囲気をまとめたものとしてお読みいただければ幸いです。

会が始まりました。沈黙とか緊張感みたいなものがありましたが、市民の皆様に支えられて、質問先行型の会を運営することができました。
司会者から、今回の会は質問から始まるものにしたいとの働きかけがありました。ほどなく、質問の手が挙がりました。
最初の質問は教育論の本質に関わるものでした。

Q:人の認識力は家庭や社会の中での教育によってできあがるもので、一人ひとりかなり違っていると思いますが、そういう違った児童生徒のいる中で教育するというのはどういうことなのでしょうか。
A:認識力が違う。これは、教育を考えるときの土台となるものです。違う一人ひとりを重視し、どう関わっていくかが重要です。考え方や経験の違う人と接する・出会うことが教育ということでもあります。

Q:学校統合と関連しますが、子どもたちにとって適正な学校規模をどう考えたらいいでしょうか。
A:学校を今後どうするかはいま全国的に考えられています。適正規模・適正配置ということが述べられることが多くなっています。私の場合は、適正規模というより、いろいろな要因、条件を考えてもっとも望ましい学校規模という考え方をします。「望ましい学校規模」を市民が行政とともに考えることが肝要だと思います。

Q:小規模でも地域と一体になった個性ある学校をつくることはできると思います。統廃合といった場合、どんな学校をつくるのか、地域との兼ね合いは重要だと思うのですが。
A:日本全体を見渡せば、小規模学校の再編、統合へ向けて動いているのも事実です。少数ですが、これとは反対の動きをしているところもあります。宮崎県五ヶ瀬町には、小規模校しかありません。これを学校を統合しないで、教科によって他の学校と合同で授業を行う方法を取り入れたりしています。

Q:小中学校での学力向上についてのご見解を。
A:文部科学省が実施する全国学力調査も大切で、これによって、個々の児童生徒の、あるいは学年や学校全体の学力のどこに問題があるか把握し、力をつけてやることができます。
同時に、勉強することの意義を理解させること、好奇心や知的刺激を与えていくこと、学校の教師や地域の大人たちが「学ぶ」という姿勢を持ち続けることも大切です。

Q:道徳とかしつけは家庭でという考え方がありますが、このことについてのお考えを伺いたい。社会に出たときに子どもにとってひるようなものはどんなものですか。
A:人の道も学び一環です。家庭の問題だけでなく学校も関わっていかなければなりません。社会に出たときのために、社会へ目を向けること、社会を見る目を持たせること、社会集団を意識することなどは、学校、家庭、地域全体で育成すべきことです。

Q:学校規模や施設の整備状況に差がある中で教育の平等性・公平性は問題にならないのでしょうか。
A:極端に違えば問題でしょうが、教育は客観的な条件だけでは決まりません。物的条件の差は、先生方が指導に打ち込み、児童生徒と向き合うことでかなり解消できると思います。

Q:少子化のことを伺います。教育水準が上がったために少子化が進んだとはいえませんか。また、出身者を呼び戻すにはどうしたらいいですか。
A:はっきりしたことはいえませんが、結果的には、高学歴化と少子化とが同じように進んでいるとはいえます。
若者が加西を離れない、離れても戻ってくる状態をつくるには、児童生徒が「加西市を好きだ」「加西市に住みたい」「加西市で働きたい」「加西市で活躍したい」、こんな思いを抱くことができるよう教育することです。普段から地域とのつながりを大切にし、加西市の自然・歴史・文化に触れる機会を多くし、地元への熱い思いを育てる。こうすれば、地元に残る若者、いったんは出ても戻ってくる人々を期待することができると思います。

Q:人権学習は現在でも必要ですか。
A:人権教育は教育の基本です。大きく取り上げられるかどうかは別にして、人権問題はいつも存在します。しかし、問題の表れかたは、社会の変化とともに変わります。変化に応じた学習が必要になります。大人になっても、当然、人権学習は必要です。

Q:加西市の教育委員会と関わっておいでになって、どういう感じをお持ちになりましたか。また、教育と財政との関係をどうとらえるべきか、お考えを伺いたいと思います。
A:教育委員会というと二つの意味があります。一つは、5人の教育委員で構成される委員会のことをいいます。このことはお話しないで、私が関わった教育委員会事務局について話します。
率直にいって職員数が十分ではないと思います。全体としての職員数、特に教育行政の専門職が足りないと思います。この解決のためには、各学校にいる「学校事務職員」の事務局への異動、一般行政職員の研修を進め教育行政事務の職員にしていくことなどが考えられる。
教育と財政との関わりは重要です。配当される予算で学校も動いています。市役所がどれだけの予算を教育にまわすか、これは、結局、市民が加西市の教育にどれだけの税金を投入しようとしているかの現われだとも言えます。可能な限り、教育に予算を付け、加西市に愛着をもち、地元で活躍したい児童生徒を育てることがいいと思います。

Q:教育の質の向上へ向けて私立学校の誘致をと考えていますが、こういう考えについてどうお思いになりますか。
A:私立学校の誘致は一つの手法だと思います。しかし、私立学校といってもいろいろな特色があるわけですから、その学校の教育方針や学校の姿を見極め、それが加西の教育に合うのかどうかを判断する必要があります。公私の位置づけやお互いの関係に注意しながら進めなければならないと思います。

Q:教師のあり方、あるべき姿についてお伺いします。
A:基本的には「志」をもつということだと考えています。もし、志のない教師に育てられたとすれば、志のある児童生徒に育つことはないの ではないかと思います。教師は、子どもたちがどんな生き方をすればいいのか、どのような世の中にしたいのかを考えるよう、身をもって示すことが大切です。

Q:教師は多忙、こうした中で学校や教育の現状に危機感を持ってしまいます。このことをどうお考えですか。
A:多忙になる原因はいろいろあります。改善するためには、先生方が様々な決断をする必要があるでしょう。業務の改善を進めることが必要です。そのためには、学校内で今までの業務について、工夫・点検・見直しをする必要があります。
教育委員会が行政能力を向上させ学校に過重な負担を強いないことも大切です。
地域や家庭の協力も必要です。学校や教師へのクレームが増えたことが教師の仕事を増やしている面もあります。
教師は、つくり出した時間で児童生徒と今まで以上に接する、学校の情報を家庭や地域に知らせる。
現状の学校をこのように改善していけたらと思います。

竺沙准教授の印象

事前に打合せもしないで質問から始めました。あらかじめいくつかの質問を用意し、弾みがついたら自由な質問に移るほうがいい、あるいは、はじめに、准教授からショートスピーチをいただき、それに対する質問からとも考えましたが、今回は、質問からということで会を始めました。
先生にとって、必ずしも望ましくない展開だったにもかかわらず、それに動じることなくお答えになりました。
会が終わって、1日、2日経って、先生の印象をまとめてみました。

  1. 質問者の質問の真意を間違いなく受け止めようとしておられたこと。
  2. その質問に誠実に、的確に答えようと努力しておられたこと。
  3. いつも、現状、本質、位置づけ、関係、政策というようなことを入れながら、答をまとめておられたこと。
  4. 答えるとこには、いつも毅然として明確に述べられたこと。
  5. 一方向からの答ではなく、広い視野から公正かつ中立的に答えようとされていたこと。
  6. ところどころに、具体的な事例を取り上げて、分かりやすく説明しようと努められていたこと。
  7. 質問に答える様子を拝見すると、物静かな中に、精神的な強靭さとか正義感強さとか現われていたこと。
  8. 教育哲学、教育行政学、教育財政学、教育政策などについて高い識見、広い経験をお持ちであること。

参加者の感想・要望

ご出席いただいた方からお寄せいただきました感想や要望をまとめます。

(1) 会の感想

  • 多くの人に問題意識があると思えた。
  • 質問形式での意見交換はむずかしい。短時間でも、提言となるような講演があった方が質問しやすい。
  • 事前に質問者を決めておけばよかったのではないか。
  • 若い世代やいろいろな立場からの意見を交換できる講演会にしてほしい。
  • 教育委員会の方の意見(考え方)を聞きたかった。
  • グループ討論をしたい。
  • 校区等小規模の会も必要ではないか。
  • 講師と現場を知る先生との質疑応答があればもっと深まった具体的な話ができたのではないか。
  • テーマが広すぎるため、この会の目的が分かりにくいし、深まりも悪い。
  • この会は案内にあった内容と違うのではないか。
  • 教育委員会や市内の小中学校での具体的な取組内容が分かる提案があれば、市民の意見も発表しやすかった。

(2) 先生の感想

  • よい先生と思えたし、この先生の講演が聞きたかった。
  • 答弁は一般論であったが、家庭だけでなく地域と一体になって教育することの大切さを改めて教えていただきよかった。
  • 集まった人々の考えの多様性という限界の中で、よく質疑に応答されていた。
  • 先生を知るよい機会だったし、共感できた。
  • 真摯に受け答えされる姿に感動し、学識の深さと同時に好感をもてる人柄を感じた。
  • 市民一人ひとりが加西市の教育にもっと主体的に関わっていかなければならないことを痛感した。

(3) 要望・意見

  • 加西市の教育方針が具体的に見えてこないので、具体的に示してほしい。
  • 先生のご意見で、加西市教育委員会は変わりましたか。
  • 地域も大事だが、子どもを通わせる親としては、学校統合を進めてほしい。子どもにとって一番いい方法を。
  • 学力を上げれば加西に人が帰ってこない。教育レベルが低ければ住んでもらえない。
  • 学校・家庭・社会それぞれができる場で教育をしていく。
  • 学校で学ぶ時間と部活(部活が多い)のバランスがよくない。
  • PTAの事業に意味のないものがある。PTAの在り方を考え直す。
  • 義務教育の内容を見直し、人権、道徳教育をもっと取り込み、人や社会に関心のある子どもを育成してほしい。
  • 教育委員会改革の実現に期待する。
  • 子どもの数が少ないために多くの多くの問題が起こっていると思う。
  • 営々と築いてきた家系を子孫へ継げないのは、教育の失敗だと思う。(競争の中で育ち、他人を思いやれない世代を生んだ。偏った高等教育が子どもを産まない女性を生んだ。晩婚化が出産人数を少なくした等。)
  • 「豊かな心」を育てるという話が合ったが、加西市として具体的にどうするかが見えてこない。

 

問合先 教育委員会 教育総務課
TEL:0790-42-8770 FAX:0790-43-1803 mail:kyoiku@city.kasai.lg.jp

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