第15回「愛の詩」

佳作

題名/渡船が繋げるもの
氏名/眞砂 幸菜


「自転車の方は、ゆっくりご乗船下さい。」

渡船が、私を隣の区へ運んでくれる。約三分間の、短い船旅。自転車のハンドルを握りながら談笑している奥様方、大きな鞄を抱えながら遠くを見ている男子学生、手を取り合って船の揺れに耐える老夫婦―渡船に乗っている間の数分間、小さな「物語」が生まれる。

私が住んでいる町には、無料の渡船があり、交通手段の一つとして利用されている。乗船中、私は静かに目を閉じながら、頬を横切る鋭い風を感じるのが好きだ。

「間もなく対岸に着きます。」

乗組員の声が合図となり、ゆっくり目を開けると、対岸には渡船を待つ人々の姿がある。折り返し、運航するのだ。私が下船するとき、これから乗船する人々と顔を合わせることになる。

「いってらっしゃい」

「いってきます」

初めて出会う、名前もわからない方々と挨拶を交わす。何だか、くすぐったい気持ちになる。

時間に追われ、生き急ぐ人が多くなってきている昨今、人生のふりだしに戻り、何が大切かを教えてくれる。あたたかい船。わがふるさとの愛ある財産として、これからも活躍してほしい。そして、小さなきっかけから生まれる大きな発見を、見つけていきたい。

 

問合先 ふるさと創造部 人権推進課
TEL:0790-42-8727 FAX:0790-43-1380 mail:jinken@city.kasai.lg.jp

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