第14回「愛の詩」

佳  作

題名/ふるさと、涙のわけは‥
氏名/大倉 佳代


『うさぎ追いし、かの山。こぶな釣りし、かの川‥』時々この歌詞が思い浮かびます。そして、声に出して歌うと何故か涙が出てきます。

去年の秋、私は三十五年振りに地元の祭りを見ました。お神輿、牛鬼、四つ太鼓など、威勢の良い出し物が次々と観客の前で舞います。小さな頃見た迫力そのままでした。一瞬子どもの頃にタイムスリップをした気さえしました。高校卒業後、進学で東京へ。結婚後、夫の転勤でアメリカ・タイへと二十三年間の海外生活を送ってきました。

でも今、五十歳を超えた私は病を抱え、治療・療養のため、ふるさとに戻ってきたのです。親を振り返らず、ふるさとを振り返らず、好きなだけ海外で生きてきて、体調が悪くなったら、浮かんでくるのが両親の顔、田舎の景色でした。

そして、迎えてくれたのも、穏やかに光る海、変化を楽しませる山、昔と変わらぬ祭り、今でも私を中学生扱いしてくれる近所のおばちゃんでした。どんな薬より私にとって効果抜群だったのでしょう。

去年の夏、くっきりとレントゲン写真に写っていた悪玉は、半年経った今、影の薄い存在となりました。担当医も驚いています。しばらくは、この景色を見ながら、この歌を歌いながら、ここで療養したいと思います。

今気がつきました。歌うと涙がでてくるのは悲しいからではありません。会いたくて、愛おしくて、ありがたくて感謝の気持ちで涙が出てくるのだと分かりました。

 

問合先 ふるさと創造部 人権推進課
TEL:0790-42-8727 FAX:0790-43-1380 mail:jinken@city.kasai.lg.jp

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