第14回「愛の詩」

佳  作

題名/妻と子どもへ(がんでも赤飯)
氏名/奥田 登


八十四歳になるまで入院を知らずに来た。この分だとこのまま卒寿を迎えられるかと秘かに期待していたが、頻尿を病院で訴えたところ、膀胱の内視鏡検査の結果腫瘍が四つとポリープが無数にあることが分かった。

良性か悪性(がん)かは、切除した後病理検査の結果を待たなければならないとのことだった。手術の日が決まったので子どもに報せたるかどうか迷ったが、黙って手術した後水臭いと非難されるのもいけないかと思い、かみさんが横浜の長男と京都の長女に報せた。すると、すごい反響があった。長男は、がんと決め付けて号泣したらしい。寡婦になっている長女は父親介護のために勤め先に退職伺いをしたらしい。

がんかどうかはまだ分らないのに、えらい騒がせてしまった。見舞いに来てくれた妻と二人の子どもと長男の嫁さんに言った。「かりにこれががんであっても、治療をすれば五年は生きるよ。九十歳になれば天寿赤飯だわね。」もし、良性だったら十年はいける。どちらにしてもめでたいことだ。

みんなにえらい心配をかけて済まなんだ。ありがとう。

 

問合先 ふるさと創造部 人権推進課
TEL:0790-42-8727 FAX:0790-43-1380 mail:jinken@city.kasai.lg.jp

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