第14回「愛の詩」

優秀賞

題名/母娘のきずな
氏名/高橋 鉄巳


何年前になるかな?車の中でお前はわたしにこう聞いた。

「お父さん、わたしもお母さんみたいな人になれるかな。」

それは、お前が母さんを尊敬しているが故の想いでもあるのは容易に窺い知れた。その時、わたしが返した言葉を覚えているかな?

「今は足元にも及ばんが、そんな気持ちを持ち続ける限り、いつかはお母さんを超えられるさ。」

あれから十数年。お前は素晴らしい夫に巡り会えて、二人の息子という宝にも恵まれた。だが、順風満帆ではなかったはずだ。とりわけ、異国での出産は心細いものだったろう。今だから言えるが、アトランタから戻った母さんが涙ぐんで話していた。

「よっぽど辛かったんでしょう。あの子、頭に十円玉ほどの円形脱毛症にかかっていた。」って。聞いて、わたしも辛かった。

いいか?お前は結婚して姓が変わったにしろ、わたしと母さんの娘に変わりはない。辛くて苦しい時は戻って来なさい。わたしも母さんも「我慢しろ」なんて言わん。お前の出す結論を支持するさ。

来年は母さんと、孫の運動会の応援に行く予定だ。そんな楽しみを与えてくれるお前は、親孝行をしているんだよ。ありがとう。

最後に、お前が母さんを超えるのは二人の息子を立派に育てあげた時だろうね。その時は、心から「ありがとう」と言えばいい。父さんは、それが最高の恩返しだと思う。母さん、きっと泣くね。

 

問合先 ふるさと創造部 人権推進課
TEL:0790-42-8727 FAX:0790-43-1380 mail:jinken@city.kasai.lg.jp

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