第13回「愛の詩」

佳作

題名/私の母
氏名/爽 香


「勘当されてもいいのね?」と母が問う
父は黙って私を見る
「いいよ」と私は言った
親になんと言われようと心は変えられない
恩を仇で返すのかと言われても仕方ない
私は行かなくちゃ
あの人のところへ

若い時に父親が死に家の借金を背負った
働いて返済しながら時は過ぎた
長男だからか
家族から感謝の言葉もない
昔から家族仲も良くなかった
遊びもせず、弱音も吐かず、結婚もせず
狭い部屋の天井を見上げ
何を思って生きていただろう
自分の境遇を呪わず、ひねくれもせず、笑顔も失わず
何を見て生きてきたんだろう
そんな人だから

けど
誰にだって幸せになる権利はあるはずでしょう?

「家族にも親戚にもなるつもりはない」と義母は言った
泣きながらその息子と手をつないで帰る
負けるもんか
やっと見つけたんだ
この手は絶対離さない
離しちゃいけないと思った
私はこの人を幸せにする
そう決めていた

あなたに育てられ、生きてきた
私は間違っていますか?
お母さん
あなたがつないでくれた幼い私の手は
今、新たにつなぐ手を見つけたんです
この手を愛おしく思う感情だって、頬をつたう涙だって、あなたが私に教えてくれたものに違いないのに
私は間違っていますか?
お母さん
あなたを悲しませたくない

母は私を勘当しなかった
そして、私の唯一の母親になった
「その人が幸せになるのはいいけど、あんたが不幸になるのは困るのよ」と母は言った
私は笑った
大丈夫
この人と父と母親のあなたがいて、私はとても幸せだから

 

問合先 ふるさと創造部 人権推進課
TEL:0790-42-8727 FAX:0790-43-1380 mail:jinken@city.kasai.lg.jp

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