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第13回「愛の詩」審査講評

今年も全国から千五百点を超える素晴らしい「愛の詩」が事務局に届きました。応募者はすべての都道府県に及んでいました。そして、どの作品も読む人の心を打つものばかりでした。

今年の作品の特徴は、まず、両親、祖父母のことをうたった詩が多かったことでしょうか。誰よりも父に、母に感謝しありがとうということ、いろいろな局面でおじいさん、おばあさんに助けてもらってありがとうということ、これ等のことを綴りたい気持ちを多くの人が持っているのだと思いました。中でも母親を思うものが多かったです。父親のことを書いた詩も今年はやや増えていたように思います。

また、作者の年齢を見ると、若い、十代、二十代の人の作品が多数をしめていました。「愛の詩」の企画が、大勢の若者に受け入れられていることは素晴らしいことだと思います。

さらに、今年は東日本大震災の被災地からの、災害に負けずに頑張るというメッセージも届きました。想像を絶する震災とはいえ、愛する人を失った心の痛手は簡単には消えません。だからこそ、それを心の中にしまいこまずに、文章に詩にして表現することが大事だと私は思うのです。思い切って応募してくださってありがとう。

さて、これらの作品を全体的に見て、今年は特徴のある作品がやや少なかったと思います。「お父さんお母さんありがとう」という、それが一概に悪いとは言えませんが、通り一遍のありがとうでは、読む人の心をゆさぶらないと思うのです。「ありがとう」にいたるどこかに読む人をあっと思わせる何かがあるはずです。それが表現されてこそ読む人の感動を呼び起こす価値ある詩となるのではないでしょうか。

最近、世間をさわがせるニュースのなかに、「愛の詩」の世界では考えられないような恐ろしい事件がいくつかありました。親がわが子を死なせたり、年老いた親を子が捨てたり、これまでありえなかった事件が多発しているのです。現代社会のひずみと言って片付けられない悲しい出来事だと思います。私はこれらの問題は、社会の変化、特に核家族化、少子高齢化、そして科学技術の急速な進歩などが要因ではないかと思います。

戦後、封建社会の悪弊から脱却しようと人々が考え出したのが、夫婦平等の核家族の暮らし、そして少子化でした。その生活が定着し、数十年、歩んできた道を振り返ってみると、こんなはずではなかったのにと思うことがかなり見つかったのです。

昔が良かったなどと言い切るつもりはありませんが、今の高齢者の人達は、子供のころ大勢の家族に囲まれて叱られたり慰められたりしながら、自分以外の人との結びつきを学びました。さらに、ままごととか子供どうしの集団遊びの中で、人間として決しておろそかにしてはならない共に生きるルールについて理解してきたと思います。人と人とのかかわりの中で、みんなで生きる原理原則をじかに身につけてきたのです。

しかし、核家族化が、戦後民主主義の理想のように考えて、私達がそれを推進し大家族を壊してきました。子供の数も少ないことが美徳のように語られて、結果として子供集団が消えてしまいました。そして情報通信等の科学技術の進歩が、人々の孤立化をいっそう助長しているようです。悲惨な出来事はこのような背景から生まれているように思います。

それでも、この厳しい現実の中から、「愛の詩」は生まれてきたのです。様々な課題を背負って時代はとどまることなく動いています。私達は、この「愛の詩」が、人が人として大切にされ、誰もが幸せに生きる世の中を作るために大いに役に立つのではないかと思います。そう考えて頑張っていこうではありませんか。

すばらしい「愛の詩」をありがとう。

 

山本 允(元兵庫県人権教育研究協議会会長)

問合先 ふるさと創造部 人権推進課
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