第12回「愛の詩」

佳作

題名/小さい母と大きい私
氏名/樋口 紗羅


あれ、お母さん、なんか小さくなった?

ふと気がついた

昔はあんなに大きかったのに
いつも抱きしめてくれていたその腕も、肩も、胸もなんだか小さく見えるんだよ

あなたが成長したのよ、と
寂しそうに母は笑う

あんなに小さくて可愛い赤ちゃんだったのに
いつの間にこんなに大きくなったのかしらね

あんなに弱くて力もなかったのに
いつの間にこんなに強くなったのかしらね

そう言っては
私が小さい頃の話をし始める母
私がひ弱だったという話は、
もう何回も聞いているのに

でもそういえば、
昔は重いものは何でも
母が持ってくれていた
私の持ち物を全部持ってくれることもあった
買い物に行った時は
一番軽い袋を私に渡して
自分は腕が痛くなるほど重い袋を
何個も持っていた

私の苦労はいつも
母が代わりに背負ってくれていたんだ

けどそんな風に
ひ弱な私を気遣っていた母も
最近は少し疲れやすくなったみたい

そして反対に私は母の言うとおり
強く、大きく成長した

だからね、
今度は私がお母さんの苦労を
背負ってあげる番だと思うんだ
お母さんみたいに
全てを背負うことはできなくても、
少しでもあなたが楽になれるように
精一杯頑張るから

この間久しぶりに二人で買い物に行って
全部の袋を持とうとすると
母は少し驚いていた

「もうお母さんに重い物を持ってもらう年じゃないんだよ」

そして
私がそう言うと嬉しそうに笑った

問合先 ふるさと創造部 人権推進課
TEL:0790-42-8727 FAX:0790-43-1380 mail:jinken@city.kasai.lg.jp

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