第12回「愛の詩」

佳作

題名/フラッシュ バック
氏名/春奈 加尾


遠い日の思い出は
今でも胸を締めつける
幼き子を背おいて
暗い線路を歩く 若き母
「どこさ行くの?」
「ババちゃんのとこさ帰るべ」
「この線路の向うが ババちゃんの家なの?」
黙々と歩く母の肩が小さく震える

歳月は流れ
幼き子は あの頃の母と同じ年になり
赤子を背おいて子守歌口ずさむ
悲しき思い出 フラッシュバック
ババちゃんのいる町は 鉄道通っていない
一日何回かのバスが来る小さい町
熱い涙が頬をつたって落ちる

あの頃の母は
幼き子を捨てるつもりだったのか
二人で死の世界へ行くつもりだったのか

聞き出す勇気もないままに月日は過ぎ
秘密の鍵を握る母は 痴呆になり
幸せそうに笑っている

どこからか蝉の鳴く声がする

問合先 ふるさと創造部 人権推進課
TEL:0790-42-8727 FAX:0790-43-1380 mail:jinken@city.kasai.lg.jp

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