第12回「愛の詩」

優秀賞

題名/じいちゃんの手
氏名/桜木 言歩


じいちゃんの家にとまった日の朝
せっかく三つ編み編んでくれたのに
すぐにほどいてばあちゃんの所へ走った

「うまいぞ」と言いながら
わざわざイチジクの実をもいでくれたのに
むっとした顔して「いらない」と言った

ぬれた私の手を見て
首にかけたタオルを
さっと差し出してくれたのに
知らん顔して自分のスカートで拭いた
じいちゃんのことを思い出すと
縁側の陽だまりみたいに
心がほこっと温かくなり
そしてちくっと痛くなる

ごつごつして土の匂いがして
嫌いだったじいちゃんの大きな手が
入院したら白くて柔らかい手になって
それを見たらなんだか涙があふれてきた
握り締めて
これじゃ、じいちゃんの手じゃないよ
と泣きじゃくった

ああ、今もう一度
じいちゃんと過ごした
あの時々をやり直せたなら
にっこり笑って
「ありがとう」って
言えるのに
そしてもう一度
あの武骨で大きな手の温もりを
確かなものとして感じたい

問合先 ふるさと創造部 人権推進課
TEL:0790-42-8727 FAX:0790-43-1380 mail:jinken@city.kasai.lg.jp

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