第11回「愛の詩」

佳作

題名/命を継ぐ
氏名/いまよし ゆみこ(福岡県)


母は驚いています。一人っ子で誰もに愛されて育ち、母親似だと思っていたあなたが、独り暮らしを続ける遠い街から帰って来る度に、顔も性格も父親似になっている事に。あなたの二十二歳の誕生日を祝ったのは、父が入院していた病室でした。その後二ヶ月も満たないうちに父は旅立ちました。父は一年半の闘病の日々を懸命に、そして果敢に病と立ち向かいました。貴方と母をこよなく愛し、余命幾許も無い事を悟って覚悟していた父は、父に寄り添う事しか出来なかった母を案じ、いずれは一人残されるであろうあなたを案じ……。あなたの花嫁姿を目にする事も、可愛い孫を腕に抱くこともなく、五十歳という若さで逝かねばならなかった父を想う時、父を失って五年を経た今も涙が頬を伝います。

父は男として立派に生きました。幾多の困難と挫折にもめげずに立ち上がり、多くの人の愛と信頼を得ていました。そんな父の命を受け継いだあなたが、厳しい現代社会の渦中を父のように懸命に生き、愛されている事を母はとても嬉しく思っています。あなたのふとした仕種・言い種の中に父を見る時、母は愛した父が還って来てくれたような錯覚を覚えます。これからも続くであろう苦難の径も、父の娘として逞しく歩いてくれるようにと心から願っています。

母は父の妻であった事を誇りに、独りでも元気で頑張るから大丈夫。心配しないで下さい。

 

問合先 ふるさと創造部 人権推進課
TEL:0790-42-8727 FAX:0790-43-1380 mail:jinken@city.kasai.lg.jp

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