第11回「愛の詩」

佳作

題名/シャツから生まれた白ウサギ
氏名/松村 まき(千葉県)


「あのねー、○○ちゃんはぬいぐるみ、いっぱい持ってるんだよ。お母さんが作ってくれるんだって」

何気なく言っただけの私の言葉を聞いて、父はおもむろに自分が着ていた肌着シャツを脱いで裁断すると、ぎこちない手つきで裁縫をし、目と口をつけて、父なりのぬいぐるみを作ってくれた。

「ホラ!これでどうだ?白ウサギだな」

満面の笑みで、満足気に父は言った。

目は離れているし、口は真一文字だしで、小学生だった私にはとてもカワイイとは思えなかったけど、母親がいない私の母親代わりになろうとしてくれたのだけはジ〜ンと伝わってきた。


二十五年経った今でも、この白ウサギのぬいぐるみは私の宝物です。お守りみたいなものです。街には、高価なぬいぐるみ、カワイイぬいぐるみがたくさん溢れているけれど、本当に苦しい時に私を支えてくれるのは、この父が作った白ウサギのぬいぐるみだけです。

不況下で、リストラという言葉をちらつかされながらの過酷な労働環境も、父はいつでも私が生きることを望んでくれていたと思うと、乗り越えられるのです。

今は天国にいるお父さん、「ありがとう」。

白ウサギのぬいぐるみを見るたびに、あなたの愛を感じます。

 

問合先 ふるさと創造部 人権推進課
TEL:0790-42-8727 FAX:0790-43-1380 mail:jinken@city.kasai.lg.jp

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