第11回「愛の詩」

佳作

題名/宿題
氏名/大竹 晃子(東京都)


あの日ぼくは母さんに連れられて

電車を何本も乗り継ぎ会いに行ったんだ

海軍予科練習生として

ひとり離れて暮らしている兄さんに―

面会室の前で待っていると

向こうから歩いてくる兄さんが見えた

七つ釦の征服

腰には短剣を提げて

それはぼくら少年が憧れる

立派な軍人の姿ではあったけれど

なぜか兄さんはさびしそうだった

それでもぼくの顔を見た途端

にっこりと笑った兄さん

その笑顔をぼくはいつまでも忘れなかった

それが永遠の別れになることを

ぼくはまだ知らず

兄さんに会えたことがただ嬉しかった


二十歳の誕生日を迎えることなく

兄さんは海軍特攻隊として

その命を散らした

自ら志願して軍隊に入った兄さんが

思い描いていた戦争とは

どんなものだったのか

そしてその目で見た現実の戦争とは

どんなものだったのか―

十歳の夏 戦争は終わったけれど

ぼくには永遠の宿題が

まだ のこされている

 

問合先 ふるさと創造部 人権推進課
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