第11回「愛の詩」

佳作

題名/母の丸い背中
氏名/鈴木 芳子(岩手県)


庭を歩いていた母が
自分の影法師を見て
「なんと、なんと醜いごど
尺取虫が這っているようだ」
と恥ずかしそうに笑った

母さん!
お前様の丸い背中は
この家に嫁いで七十三年
早朝から夕方まで苦労して働いた
立派な証拠です
誰にも恥じることが無いですよ!

私の国民学校一年〜二年生の頃
戦中、戦後の食糧難の時代
我家の四世代家族に
東京から疎開してきた叔父一家
朝鮮から引揚げて来た縁故の一家
家業の船方達を合わせると
二十八名の大家族の食糧の工面
毎日早朝から夕方まで
肥料を運ぶのも背中
収穫物の取入を運ぶのも背中
運搬機のように使われた背中
そして
我が子や甥、姪達を区別なく
抱きしめる度に
丸く丸くなった母の背中

今でも
一緒に風呂に入り
母さんの丸い背中を
感謝を込めて流している
夢を見る度に
私は「母さん!天国では
ゆっくり休んでくださいね」と
手を合わせる

 

問合先 ふるさと創造部 人権推進課
TEL:0790-42-8727 FAX:0790-43-1380 mail:jinken@city.kasai.lg.jp

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