第11回「愛の詩」

審査講評

この「愛の詩」の作品募集も今年で11回目になります。例年の通り二千数百点の作品が事務局に寄せられました。遠くブラジルからの作品もありました。

今年は、応募されたどの作品も中味の濃い、読む人の心を打つものばかりで、特に優秀作品として選び出すのに苦労しました。

車椅子の生活をしている小学生が日常の学校生活について書いた作品がありました。周囲の友だちが当然のことのように自分に関わってくれることを、心から有難いと思う。とともに、自分も周りの人のことを気にかけ出来るだけのことをしてあげようと思う。といった内容の作品でした。本人や周囲の人達のすばらしさは当然ですが、私はこのクラスの子供達の温かさ、そして何よりもこのようなクラスに育て上げた担任の努力に感動しました。

母親が自分や家族のため、また多くの人のために懸命に生きる姿を見て、自分も母と同じ看護師の道を歩む決心をしたという高校生の詩がありました。

「母さん、有難う」「母さんていいね」等々、母を思う子供達の詩がたくさんありました。もちろん子を思う親の作品も数多くありました。

阪神淡路大震災で大きな被害を受けた神戸の商店街に住んでいて、震災前の町の人々の暮らしを振り返った作品がありました。当時、町の人々は互いに助け合い、支えあって心豊かに生きていたことに、あらためて気付いた。そして、現在この町は昔の面影など全く見られない。だからこの地に住み続ける者として、なんとしても昔のような温かい町づくりを進めたいと願う。そんな女性の詩がありました。

大きな事故で瀕死の重傷を負い治療中、孤独感や絶望感に取り付かれていたとき、「人間の知恵や技能は無限です。生かされた命なのですから、ご自分に出来る仕事を、心を込めて続けていってくださいね」と励まされた介護士さんへの感謝の言葉。

これらの素晴らしい詩を読んでつくづく思うことがあります。

まず、それぞれの詩には、生き生きとした風景があることです。子供達の歓声が響き渡る学校、人々の憩う温かい、色とりどりの品物に溢れた商店街、いつもやすらぎを与えてくれる故郷の田園風景、があります。

そして、その中に生きるひたむきな人間の姿があります。人々は何かのために一生懸命に働きます。ありふれた現実ですが、その人間の生の営みに心打たれます。

さらに、人は、誰かを思いそのひとのために行動するのではないでしょうか。木下順二の「夕鶴」を思い出してみてください。それぞれの人生が「愛の詩」のなかで輝いていました。

これらの詩や文章を大切に、明日からまたがんばっていきましょう。

たくさんの「愛の詩」を有難うございました。

(元兵庫県人権教育研究協議会会長)
山本 允

 

問合先 ふるさと創造部 人権推進課
TEL:0790-42-8727 FAX:0790-43-1380 mail:jinken@city.kasai.lg.jp

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