第10回「愛の詩」

佳作

題名/三日月王子へ
氏名/豆千代(千葉県)


お産をきっかけに、生まれつき持っていたらしい病気が現れた。

まっすぐ歩けない、力が出ない、しびれとだるさ、体ぜんたいが鉛のよう。

大学病院の脳外科は脊髄の手術をすすめた。

これから、どうやって子どもを育てていけばいいんだろう。

シャワーを強く出しながら声をあげて泣いた日々。

そんなときでも、どんなときでも、あなたは元気に動きまわり、目を三日月にしてよく笑った。

「心配しないでお母さん、ぼくは丈夫に生まれたから」

三日月の目はそういって私を励ました。だから毎日必死で暮らした。

好きな仕事もやめなかった。

あなたは、この春十七才。

いま私があるのは、あなたのおかげ。

あなたがもし生まれなかったら、病気を知らずにわがまま放題、ろくな大人になってなかった。

だんだん横にならない日が増えていき、気がつけば体が動く。

脳外科の教授に診せたら、きっと不思議がるだろう。

進行性だから五年後には車椅子、十年後にはあの世。そう宣告したはずなのだから。

「行ってきます」と眠たげな朝。

一七五センチにもなった三日月王子に「行ってらっしゃい、気をつけて」と私はきょうも声をかける。

三日月王子は、神様からの授かりもの。いずれ旅立つ預かりもの。

育ってくれてありがとう。子育てできて、本当によかった。

そして主人へ。

結婚してくれたこと、感謝してます、ありがとう。

 

問合先 ふるさと創造部 人権推進課
TEL:0790-42-8727 FAX:0790-43-1380 mail:jinken@city.kasai.lg.jp

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