第10回「愛の詩」

佳作

題名/親子の絆
氏名/長坂 隆雄(千葉県)


お母さん、貴女が大学に献体登録を申し込んだ時には、驚きはしましたが遠い将来の問題として、深く考えませんでした。

新春早々貴女が骨折し、緊急入院しました。医者は手術を勧めましたが、貴女は堅く断りました。

92歳の年齢は争われず、貴女が目にみえて衰弱してきました。私の心に改めて貴女の献体問題が重圧としてのしかかってきました。

数日後、担当の看護婦さんが、私に意外な事を打ち明けました。

「お母さんが私にこんなことをおっしゃいました。−私は亡くなったら献体する事になっているので、私の体は預かりものなのよ。傷つけたり、いためたりしないで、少しでもきれいな体で研究してほしいの−そうおっしゃいました。私は感動で胸が一杯になりました」

お母さん、貴女の意思を軽く考えていた私の愚かさを痛感しました。貴女の意思を尊重する事こそ最高の葬儀でないかと思いました。

その数日後、貴女は静かに息をひきとりました。最後まで迷う事なく、自分の意思を貫いた貴女の子である事を誇りに思っています。

 

問合先 ふるさと創造部 人権推進課
TEL:0790-42-8727 FAX:0790-43-1380 mail:jinken@city.kasai.lg.jp

Page Top