第10回「愛の詩」

佳作

題名/母鏡
氏名/金曽 和子(兵庫県)


母にだけは知られたくなかった

小学校の教室のすみっこで

ひとり泣いていたあの日の出来事

母にだけは絶対に知られたくなかった

知られていないと思っていた

あの日の私はいつものように

小犬とじゃれあい

おやつもごはんもいっぱい食べ

いつもの時間に「おやすみなさい」を言ったから

絶対に知られていないと思っていた

けれど最近

あの日の母はいつも以上におしゃべりで

わけもなく私を見て笑ったこと

下駄箱の上のサボテンを

長い時間みつめていたことを思い出した

そして私も母になって

黙ってみつめるだけの優しさがあることを知った今

確信した

母は知っていた

 

問合先 ふるさと創造部 人権推進課
TEL:0790-42-8727 FAX:0790-43-1380 mail:jinken@city.kasai.lg.jp

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