第10回「愛の詩」

佳作

題名/連れ合い
氏名/小山 和彦(静岡県)


親戚から突然、お見合い話が持ち込まれた。

相手の女性は末娘。上に三人の兄姉がいる。

その父親は急性白血病で闘病中。余命半年と診断されていた。

父親は末娘の花嫁姿を観てから死にたいと言う、強い願望を持っていた。

五月にお見合い。七月に結納。九月に結婚。

末娘のウェディングドレスを眺め、新郎に後事を託し、その二ヵ月後に息を引き取った。

享年六十三歳だった。

光陰矢の如しで、あれから三十年過ぎた。

長男の俺に嫁ぎ、本当に苦労を掛けてしまったな。

舅の借金の肩代わりやら、病弱な姑の看病。

パートタイマーで働きながら、借金の返済と三人の子育て。泣き言は一切なし。

それでも、小姑連中は「親の面倒見が悪い」と、罵詈雑言で袋叩きだ。

本当に長い間、地獄の淵を歩かせてしまったな。

お前さんは運が悪かったが、お前さんが居なかったらこの家は間違いなく一家離散だった。

三人の子供達は逞しく成長し、独立した。

俺を支えてくれたお前さんの腕前が良かった証拠だ。

一般の家庭では家内、女房と呼ぶが、俺はお前さんを「連れ合い」と紹介している。感謝、友情、尊敬を含む素敵な言葉だと思う。

今更恥ずかしいけれど、愛しているよ。

 

問合先 ふるさと創造部 人権推進課
TEL:0790-42-8727 FAX:0790-43-1380 mail:jinken@city.kasai.lg.jp

Page Top