第8回「愛の詩」

優秀賞

題名/綺麗
氏名/佐々 林(兵庫県)


百六歳を迎えたばあちゃんの
とても強靭なからだが
白いベッドに横たわっている
百六年まえにばあちゃんが生まれた
のどかな海の近く
ばあちゃんよりはずっと若い
白い立派な鉄筋コンクリートの
建物の一室で

夏は畑に行きたいというが
もうばあちゃんの畑はなく
冬は鶏にあたえる青草を気にするが
もうばあちゃんの鶏はいない

それどころか
末娘は二十年もまえに五十五で逝き
長男も二年まえに七十八でサヨナラした
それでも
ばあちゃんの強靭なからだは
きょうも白いベッドのうえで
脈打っている生き長らえている

ばあちゃんが生まれて
ちょうど百年目の年
この世に生まれてきたぼくの娘は
もう六歳になっていて
あるとき
ばあちゃんの小さくなってしまった
からだを眩しそうに見つめ
なにを思ったのかこういった
きれい

 

問合先 ふるさと創造部 人権推進課
TEL:0790-42-8727 FAX:0790-43-1380 mail:jinken@city.kasai.lg.jp

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