第5回「愛の詩」

佳作

題名/お父さん
氏名/MEG(千葉県)


あの日のこと、覚えていますか?
卒業を控えた十八歳の冬、未婚のまま大好きな人の子供を産むことを決めたあたし。
そんなあたしに
「今まで育ててきた恩返しがこれか」
と声を荒げたこと。
あたしが大学に進む事を、誰よりも喜んで楽しみにしてくれていたあなたの悲しそうな横顔。
何を言われても、あたしはうつむいている事しか出来ませんでした。
そして、あなたが単身赴任先へ帰る日。
あたしが帰ってきたバスに入れ違いで乗ったお父さん。
決してそんなことをする人ではないのに、あの時のあなたは違いました。
窓を大きく開け身を乗り出し、あたしを呼びとめ
「がんばれよ!子供産むのって大変らしいから」
そう言って大きく手を振ってくれたこと。
すごく、すごく嬉しくて、お礼の意味をこめて十日間で編み上げたセーター。
『お父さんへ、愛をこめて』と書いたカードを添えたあたしに
『愛をこめる相手が違うのではないですか?』と書いてくれた初めての手紙。
照れくさかったけど、すごく嬉しかった。
いつのまにか、もうすぐ十三回目の冬が来ます。
こんな我が儘だらけの娘に、いつもたくさんの愛情をありがとう。
いつもいつも、あたしたち親子を気に掛けてくれるあなたの愛情の深さにどっぷりと甘えっぱなしの娘で、本当にごめんね。
お父さんにそっくりと、誰もが納得する顔、最近とっても気に入っています。
お父さんの娘に生まれてきて、本当に良かった。
まだ、話した事はないけれど、あたしの夢の一つはね。
いつか、きっといつか、真っ赤なヴァージンロードの上をお父さんと腕を組んで歩くこと。だからお願い。
もう少しだけ、お酒を控えて長生きしてね。
まだまだ叶いそうにない夢だから……ね。

 

問合先 ふるさと創造部 人権推進課
TEL:0790-42-8727 FAX:0790-43-1380 mail:jinken@city.kasai.lg.jp

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