第5回「愛の詩」

佳作

題名/花嫁衣裳
氏名/芹澤 美保子(静岡県)


「長男の所へなんか、絶対にやらん」
そう言い続け、反対した父さん。
ののしり合い、議論し、憎みあっていた父さんと私。
「勝手にしろ!」
夜叉のような顔をして、怒った父さんに許してもらえないまま、たった一人で花嫁衣裳を着て、嫁ぎました。
言っていたとおり、長男の家の嫁の役割は大変でした。嫁と姑との葛藤。私を取り巻く大勢の親戚への確執の違い。小姑との同居。
「それみたことか」と、一喝されそうで泣き言は言ってはおられません。夢中で、嫁としての務めを果たしてきたつもりです。
働き盛りの舅の急逝、寝たきりの大姑の介護、入退院をくり返す姑の看病、子育てとへとへとになったとき、鞭を打ちながらやってこられたのは父さんの愛でした。
苦しく、辛くなると墓参りをしました。
「がんばってるな」
そんな声が聞こえてきそうで、がんばってこれたのです。
結婚して三年目、父さんの突然の訃報。私の夫や息子たちの顔を見せることができなかったことを悔やみます。
父さん、もうじきお盆です。墓参りはみんなで行きます。
「がんばったな」
と、声をかけてくれますか。

 

問合先 ふるさと創造部 人権推進課
TEL:0790-42-8727 FAX:0790-43-1380 mail:jinken@city.kasai.lg.jp

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