第4回「愛の詩」

佳作

題名/母へ
氏名/鈴木 千景(愛知県)


この十数年間、私達にとっては家族が次々と減っていく、その恐怖と戦っているような月日でしたね。

そんな月日の中でも、いつも明るさを失わないあなたが、私の救いでした。

そんなことを言ったら、
「幼すぎて覚えていないでしょう。」
と笑われるかもしれません。

でもね、私はちゃんと覚えているの。八人という大家族の中で、にぎやかに過ごした日々を。我が家がたくさんの笑い声で溢れていた事を。それから、いろんな事がありましたね。

曾祖父、祖父、祖母、そして父の死。姉の結婚、兄の就職。その度に、家族が一人、また一人と減っていきました。

そして私が十八歳になった時、八人いた家族は、たった二人だけになっていました。大きな家の中では、いなくなった人の不在の存在感がとても重く感じられたこと、今でも忘れられません。

きっとあなたも同じ気持ちだったのでしょう。
でも、決してこれ以上、減ることはないからね。
今年、私が結婚して、家族が増えました。
「八人でにぎやかに暮らしていたこの家で、一緒に暮らそう。」
そう彼が言ってくれたときの、あなたの嬉しそうな顔、ずっと心に焼き付いています。そうやって、一人ずつ家族を増やしていこうね。
あなたがおばあちゃんになり、ひいおばあちゃんになって、大家族の中で笑っている。それが私の夢です。
これからは、家族が次々と増えていく、その喜びにあふれた月日をあなたに贈ります。

 

問合先 ふるさと創造部 人権推進課
TEL:0790-42-8727 FAX:0790-43-1380 mail:jinken@city.kasai.lg.jp

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