第3回「愛の詩」

佳作

題名/思いやり
氏名/舘内 呈子(山形県)


「お母さん これ。」・・・と一通の申込書
「ゆり、行かなくていいから。」と一言残してベッドに入る私の長女。見ると、娘が毎日遅くまで頑張っているマーチングの合宿の申込書である。娘は我が家の経済状態を知っていた。私はとても胸が痛んだ。
次の日、夕食が済み、私は娘に
「ほんとうに行かなくていいの。」
とたずねると、
「ゆりは行かなくていい。」
「でも皆んな行くんだよ。2日間もお泊りするんだよ。4級の検定も受けることができるんだよ。いろんな先生がお見えになって・・」
などと言葉を並べていると
「ゆりは、大丈夫だから。」
と明るく答える。私は涙があふれた。すると娘は、私の背中をさするのだ。あふれる涙が、流れ出して止まらない。背中をさする手が止まり、
「さっ、着がえるぞ!」
・・・と言って
部屋を出た娘が、しばらくすると私の前に来て、パンツをかぶり踊り始めた。
私が娘を強く抱きしめた時、
「ゆりね。今日先生に、合宿行けないってことわってきたから。」
と言う。
なんて、素晴らしい子供に育ってくれたのだろうと、感謝せずにはいられなかった。「ゆり、頑張るから、お母さんも頑張って。」小学4年生の娘が、言った言葉である。私は、親のふがいなさを皆んなの前で喜んで恥をかこうと思う。

 

問合先 ふるさと創造部 人権推進課
TEL:0790-42-8727 FAX:0790-43-1380 mail:jinken@city.kasai.lg.jp

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