第3回「愛の詩」

佳作

題名/「ホタル」
氏名/別府 直也(兵庫県)


"父の日のプレゼント"と小野に嫁いだ娘たちがやって来て、我家は11人の大家族となった。
ナス、ピーマン、新ジャガ、玉ネギ、オージービーフと賑やかにバーベキューパーティが始まる。ほろ酔いのはだに初夏の涼風が心地よい。石影の紫陽花には少し煙そうで気の毒だけど。

「あッ ホタル」外燈に蛾が舞ってチラチラする。
「ホタル知っとんのか?」
「理科で習ったもん。」
「ほな本物見に行こか。」というので二台の車に分乗し、八千代町の野間川に向かった。
「よーけおるヮ!1、2、3、4、5・・・ついたり消えたりするから数えられへん」
「そんな大きな声出したら、ホラむこうへ逃げて行きよるやん。」
久方ぶりに見るホタル。もう60年近くなるかなあ。戦火に追れ父の故郷富合村に疎開して来た頃、竹ぼうきを振りながら畦道を走り廻わったのもつい此の間のように想われる。

そういえば級長だった木下君、3丁目の池田君、どうなっているかなあ。
「ドロップ!ドロップ!」アニメ『ホタルの墓』の可愛いせつこの顔が目に浮かぶ。先日妻と観に行った映画『ホタル』の高倉健さん、田中裕子さん、奈良岡朋子さん演じる冨子のこわばった面持ち。

やはり蛍の火は、はかなく映る。
ふと気づくと両手に孫達の小さい手があった。

 

問合先 ふるさと創造部 人権推進課
TEL:0790-42-8727 FAX:0790-43-1380 mail:jinken@city.kasai.lg.jp

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