第3回「愛の詩」

愛の詩賞

題名/山菜と教科書
氏名/佐藤 健(秋田県)


母さん、おぼえていますか?

薄暗いうちに母さんに起こされ、山菜とりに行ったことを。そのたびに、あしたにしてくれと布団を被ったことを。教科書と弁当を風呂敷に包んで駈けずり回った朝もやの山。春はわらび、竹の子、秋にはきのこ。何も知らない僕はただ、母さんが山菜とりが好きなんだとばかりについていった山。学生服の泥を払って駆け足で潜った校内。

僕が東京へ就職するとき、
「山菜を売って教科書を買ったお金の余りよ。今までありがとう。これで好きな物買って。」
って5千円くれたっけ。びっくりしたなあ。あのとき。母さんは僕たち4人の兄弟の教科書のために、山菜とってたんだね。それを早く知っていればもっとがんばったのに。

母さん。あなたの書を学び、こんなに大きくなりました。僕が就職したとき、小包みの山の幸の隅に、あれほどおぼえるなと言っていたタバコが10個。狂うほど好きだったビートルズのレコードが三枚。涙が溢れました。

今、母さんは痛い腰を我慢して花の手入れをしている。「花の好きな方、ご自由にお取りください。」と書かれたマジックインキの文字が、あなたの人生の教訓そのものです。苦労続きの長編小説のようなあなたの物語・・・。

終わることなく、この先ずっと読ませてください。

 

問合先 ふるさと創造部 人権推進課
TEL:0790-42-8727 FAX:0790-43-1380 mail:jinken@city.kasai.lg.jp

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