第2回「愛の詩」

佳作

題名/父母へ
氏名/沼田 玲子(茨城県)


幼い頃、父の膝にまたがって、もぎたてのトマトをかじる。
熟したトマトの汁が、父のズボンにはねる。
そろっと父の顔を見上げると、またおいしそうに父もトマトにかぶりついている。
父と母が丹誠込めて作ったトマトの味は格別だった。
ビニールハウスのむせるような暑さがなつかしい。

けっして器量がいいとは言えない私に、母がワンピースを作ってくれた。
水玉模様だった。
馬子にも衣装、母は目を細めて私を見ていた。
調子に乗った私は、くるっと回って見せたりして、なかなかのモデルぶりだった。

そして、夏の夕立ち。
むせるような土のにおいがなつかしい。
父と母の愛を体いっぱい受けて育った私が
今、一番後悔している事。
それは、「ありがとう」の一言も言わず
嫁いだ事。

あれから二十年。
今からでも遅くありませんか。
「お父さん、お母さん、私を産んでくれてありがとう。私は、今、幸せです。」

 

問合先 ふるさと創造部 人権推進課
TEL:0790-42-8727 FAX:0790-43-1380 mail:jinken@city.kasai.lg.jp

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