第2回「愛の詩」

優秀賞

題名/「おとうちゃん」へ
氏名/原 一也(茨城県)


僕の記憶が残るようにときには、いつも「おとうちゃん」と言っては、あなたのそばを離れません
でしたね。今にして思えば「おとうちゃん」と呼ぶ僕の心の中では「おかあちゃん」と言っていた、
そんな気がしています。だって、そうでしょう……、気がついたら僕には母親がいなかったのだから……。
いつも一人で酒を飲んでいる「おとうちゃん」しか、僕には頼る人がいなかった……。
仕事を転々と変えながら、住所を変えながら、飲んだくれて、わがままで、同じ職場に一年もい
られない。そんな「おとうちゃん」には幻滅ばかり感じていました。
僕が中学生の時だったよね。また「おとうちゃん」が仕事を変わり、そのために学校まで変えると
言い出した。その時、僕は家を飛び出した。「おとうちゃん」は障害者で足が悪くいつも足を引きず
っていた。その足で、自転車に乗り夜中の街を走り回って、僕を捜していたのを、家の近くの木陰
から見ていたんだよ。心の中で「このクソ親父」って思いながらね。だって、それまでに中学校四回
も転校していたんだから。それに僕はその学校で初恋をしていたんだ。本当に「クソ親父」って思っ
たよ。
でもね……、悪い足を引きずりながら僕を捜していた「おとうちゃん」を見ながら、僕は泣いた
……。親としての「おとうちゃん」を感じた瞬間……。
男手一つで……とにかく今日までありがとう。長生きしろよ……。

 

問合先 ふるさと創造部 人権推進課
TEL:0790-42-8727 FAX:0790-43-1380 mail:jinken@city.kasai.lg.jp

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