第2回「愛の詩」

審査講評

平成十二年度、加西市の募集した「愛の詩」には、千四百八十一編もの多くの応募がありました。それもアメリカからの応募もあったりして、国内は言うに及ばず、いよいよインターナショナルな事業になりつつあるとの感すらいたしました。
応募されたどの作品も、作者の「愛」に溢れたすばらしいものばかりでした。それらの作品から特に優れたものを選ぶという仕事は、大変なものです。審査にかかわっていただいたみなさんのご苦労に感謝したいと思います。
特に今年の作品は、いずれも内容のあるすばらしいものばかりでした。読み進めながら何度も涙ぐんで、文字が読めなくなることもありました。その過程で気付いたことをいくつかにまとめて書きます。

一、全ての作品の中に、様々な形の「愛」が描かれています。もちろん表現の方法はいろいろですが、その奥にそれぞれの人生のドラマがあります。一つ一つの作品に一人一人の人生が見事に描きだされていました。愛に包まれて、または惜しみなく愛を注ぎながら、人はひたむきに自分の人生を生きているのだということを実感しました。その現実が、ひたひたと読むものの心に迫ってきます。
久しぶりに帰ってくる娘を迎える年寄り夫婦の気持ちを唄った秋田県の今野さんの作品に感動しました。自分の幸せを求めて、親の思いを振り切って家を飛び出し、愛する人との暮らしを選んだ娘さんが、何かの理由で、人生に敗れたのか、思い詰めた末の選択であろう、家に帰ってくるという。その娘を迎えるにあたって、母親は、夫(父親)に何も言うなよ、尋ねるなよとかたく口止めをする。やがて雪の積もった玄関に娘が現れるが、娘のそばには孫がそっとよりそって立っていた。明日は孫の靴を買ってやろうと思う父親の心が、娘への愛と共に詩の中にあふれています。
また、お腹の中の子どもへの愛を綴った作品もありました。三十六歳で母となる女性のひたむきな人生への思いが読む者の心を打ちます。

二、愛の詩には様々な表現の方法があることが分かりました。たとえば、デコレーションケーキのように飾られたものもあります。一方、全くシンプルに、短歌のように短い言葉の中に愛が凝縮されているものもあります。どちらが良いなどと言うつもりはありませんが、やはり素直に自分の思いを表現しているものが、かえって読む人の心をとらえるのではないかと思いました。
アメリカの女性の短い詩が、読む人の心を動かしました。我が子に会いたいということだけ書かれているのですが、かえってその純粋さが読む人を感動させます。

三、今、マスコミでは、毎日のように切れる十七歳とか、十六歳のタクシー運転手強盗殺人事件とか、金目当ての殺人、ひったくり等、ざらざらとした人間関係が報じられています。それも事実でしょうが、全国から送られてきた多くの「愛の詩」を見ると、人の心の温かさ、豊かさが改めて信じられ、心温まる気がしました。

私達はこれらの「愛の詩」を、全国の人々はいうにおよばず、世界中に向けて発信し、一人でも多くの人に読んでもらい、共感の輪を広げて行きたいものです。人の命の貴さや人を慈しむ心を大切にし、いたわりあい支え合って共に生きる社会の創造に、力を惜しまない仲間のネットワークを広げたいものです。たくさんの「愛の詩」をありがとう。

(兵庫県人権・同和教育研究協議会会長)
山本 允

 

問合先 ふるさと創造部 人権推進課
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