第1回「愛の詩」

佳作

題名/母
氏名/高見 あけみ


肺がんのため五カ月の闘病生活の後、六十九歳で生涯を閉じた父
病院のベットの側らで、肩を竦めすすり泣く母の姿
底冷えのする真夜中の深閑とした病棟に無言の時が流れ、母のそばでとめどなく流れる涙に為すすべもない私……
お母さん…… お父さんの分まで長生きしてね。

背を丸め、腰をかがめ、目を細くしてせっせと内職をする母の姿
小春日和の庭先の日溜りでやさしく揺れる秋桜花に、
幾歳か前の嫁ぎし頃の想いをいだく……
お母さん…いつまでも苦労が耐えないね。

「これね。」そう言って、御祝儀袋を差し出す母
“お誕生日おめでとう。子どもたちの成長と共に、あなたも年を重ねましたね。身体に気をつけて、その日その日を大事に、しっかり生きていきましょうね。母より”という走り書きを添えて……。
幾つになっても毎年忘れずにいてくれる母のやさしさに、年をとっても親と子、母が娘を想う気持ちに変わりはないのだと、申し訳なさと感謝の気持ちで胸がいっぱいになり、目頭を熱くする……。
心配ばかりかけてごめんね、お母さん……

母のやさしさに触れ、母のぬくもりに包まれ、娘を想う母心の深さを感じながら、いつしか私も四十路を過ぎました。
ありがとう…… ありがとう、お母さん……

 

問合先 ふるさと創造部 人権推進課
TEL:0790-42-8727 FAX:0790-43-1380 mail:jinken@city.kasai.lg.jp

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